信長の野望・天道

『信長の野望・天道』

『信長の野望・天道』は、2009年にコーエーテクモゲームスから発売されたWindows用歴史シミュレーションゲームです。「信長の野望シリーズ」の第13作目にあたり、「道」をテーマにした戦略性の高いゲームシステムが特徴です。

ゲームシステムの特徴

道の概念

本作では、部隊の移動に「道」が重要な要素として導入されました。プレイヤーは武将に命令して道を作っていく必要があり、道のない場所では移動速度が大幅に低下します。また、道は敷設だけでなく撤去も可能で、敵軍の進軍を妨害するなど戦略的な活用が可能です。さらに、道で繋がった城を陥落させずとも、その周辺の町並みを占領できるシステムは、現実の領土争いを反映した革新的な試みと言えるでしょう。

内政の簡略化

内政システムは前作『革新』から大きく変更されました。城下の町並みの種類は固定され、施設を建設するだけのシンプルなものになりました。これにより、内政の煩雑さが軽減され、より戦略に集中できるようになっています。南蛮町などの特殊な町は廃止され、村落、商人町、武家町、匠ノ町のみとなり、文化人を迎えるシステムも導入されました。

技術の柔軟化と喪失

技術研究システムは、学舎の建設が不要となり、「金銭」と「匠ノ町」があれば技術研究が可能になりました。複数の技術を同時に研究でき、武将の適性による制限も撤廃されています。ただし、本作では技術を所有する概念があり、匠ノ町を奪われると、その町にあった技術も喪失します。このシステムにより、小勢力でも技術力を高めて大勢力に対抗する戦略が重要になりました。水軍と築城技術は廃止され、それぞれ兵器と内政技術に統合。代わりに、兵糧、募兵、軍馬に関連する「牧農」という技術カテゴリが新設されました。

技術一覧

• - 足軽：草鞋、三間槍、腹巻鎧、革足袋、陣羽織、胴丸、仁王具足、当世具足、脇槍、軍太鼓
• - 騎馬：牧場、馬上槍、馬面、蹄鉄、母衣、馬鎧、耳覆い、馬上組打、朱塗具足、旗指物
• - 弓：軽弓、矢衾、歩盾、遠矢、竹束、弓騎馬、速射法、避来矢、横矢、破魔弓
• - 鉄砲：鉄砲鍛冶、散弾、金創医術、早合、火薬改良、鉄盾、馬上筒、連式銃、陣押、半鐘
• - 兵器：安宅船、攻城櫓、台車、水密隔離、鉄甲船、大筒、車盾、製鉄法、施条法、炸裂弾
• - 牧農：草肥、新薬、刀狩、品種改良、検地、灌漑、地引網、馬防疫、二期作、兵農分離
• - 内政：鉱脈調査、木版印刷、番匠、挽割製材、弓狭間、伝馬制、携行食、割符、製図、関所撤廃

築城の平等化

城の耐久度は、低級内政技術で改築できるようになり、プレイヤーの大勢力とCOMの小勢力との間で差が縮まりました。また、自動攻撃施設である櫓・鉄砲櫓は大幅に弱体化し、城を櫓で囲む戦術が通用しなくなりました。大兵力で攻め込まれると防ぐのが難しいという、より現実的な状況が再現されています。

ダメージ系戦法の強化

戦闘では、「闘志」を溜めて「戦法」を発動するシステムは継承されていますが、計略・サポート系の戦法は弱体化され、ダメージ系戦法が強化されました。戦法は5段階まで細分化され、新たな戦法も追加されています。武将が戦法を習得するシステムは廃止され、各武将は固有の戦法を持つようになりました。

自動調達

募兵、鉄砲、馬の調達は、それぞれ奉行に任命された武将が自動で行うようになり、プレイヤーの負担が軽減されました。兵器の製造は従来通り手動で行います。

軍事施設

合戦では、砦、櫓、狼煙台、兵糧庫、陣屋などの軍事施設が活用できます。これらの施設を配置することで、戦闘を有利に進めることができます。

陣形

合戦では、最大5部隊を1つの陣形として組むことができます。陣形には、鶴翼、魚鱗、雁行、偃月、鋒矢、方円、衡軛、錐行、包囲の9種類があり、各陣形に異なる特性があります。このシステムは『信長の野望・烈風伝』でも採用されていました。

戦法

戦闘中に「闘志ゲージ」を溜めることで強力な「戦法」を発動できます。戦法には、「兵科戦法」と「連携攻撃」があります。兵科戦法は各兵科固有の攻撃で、連携攻撃は同じ兵科の部隊と協力して行う攻撃です。戦法には様々な種類があり、敵軍へのダメージ、混乱、士気低下、自軍への強化など、戦闘を有利に進めるための重要な要素となります。

戦法一覧例

• - 足軽：槍衾、鬼槍、燕飛、神槍
• - 騎馬：突撃、疾駆、赤備、影突
• - 弓：斉射、扇抜、天弓、射切
• - 鉄砲：連撃、捨奸、烈火、竜撃
• - 妨害：罵声、威圧、混乱、籠絡、同討、乱破、離間、謀殺、火牛、鬼謀
• - 回復：鼓舞、鎮静、治療
• - 兵科強化：足軽強化、騎馬強化、弓強化、鉄砲強化、兵器強化
• - 全体強化：八幡之備、金剛之備、不動之備、鉄壁之備、威風之備、車懸之備、覇王之備
• - 拠点：投石、熱湯、焙烙
• - 諸勢力：猛駆、猛射、土竜攻、火攻、破砕、石崩、猛撃、火龍、石火、火船、懐柔

シナリオ

本作には、多数のシナリオが収録されています。

全国モード

• - 信長元服〜うつけ信長（1546年1月）
• - 尾張統一〜三好家の台頭（1555年10月）
• - 信長上洛〜九州の覇者（1568年11月）
• - 姉川の戦い（1570年6月）
• - 長篠の戦い〜騎馬 vs 鉄砲（1575年6月）
• - 夢幻の如く〜真田家登場（1582年1月）
• - 次代を継ぐ者（1580年1月）
• - 群雄集結〜夢のオールスター（1565年3月）
• - 信長誕生（1534年5月）
• - 野望、再び（1582年12月）
• - 関ヶ原の戦い（1600年4月）
• - 上洛の夢（1511年8月）
• - 慶長大転封（1588年1月）

群雄覇権モード

• - 瀬戸内の覇者（1560年1月）：中国・四国地方
• - 関東の群狼（1560年1月）：関東地方
• - 三つ巴と六文銭（1570年1月）：関東・甲信越地方
• - 信長包囲網（1570年1月）：近畿地方
• - 九州三国志（1580年1月）：九州地方
• - 不如帰の行方（1590年1月）：近畿・東海・北陸地方
• - 奥州、乱る（1600年1月）：東北地方
• - 上田城攻め（1600年7月）：関東・甲信地方
• - 関ヶ原決戦（1600年10月）：近畿・東海地方
• - 嵐の前夜（1540年1月）：東海地方
• - 光秀の野望（1582年6月）：近畿地方
• - のぼうの城（1590年5月）
• - 大坂の陣（1615年5月）
• - 鳥なき島の蝙蝠（1575年1月）：四国地方（体験版オリジナル）
• - 信長の初陣（1550年3月）：東海地方（体験版オリジナル）

タイアップ

本作では、地方自治体や映画作品とのタイアップ企画が実施され、関連人物やキャラクターの武将データが配信されました。

• - 映画『火天の城』：岡部又右衛門
• - 「天地人」直江兼続やまがた情報局：樋口兼豊、谷柏直家、成沢道忠
• - 宮城県：片倉喜多、萱場元時、亘理元宗
• - ゆるキャラまつり in 彦根：かねたん、いしだみつにゃん、しまさこにゃん、おおたににゃんぶ、がもにゃん、とらにゃん
• - その他多数のキャラクターの顔CG配信
• - 福島商工会議所青年部：飯坂猫、穴沢俊光、傑山雲勝
• - 兵庫県三木市：中村忠滋、久米五郎、神吉頼定
• - （株）まちづくり湖北＆米原市商工会：堀秀村、雨森清貞、安養寺氏種
• - 雑誌「歴史魂」石田三成特集：前野忠康、小幡信世、山田去暦
• - 和歌山市「雑賀孫市と雑賀衆のまち」：的場昌長、佐武義昌、奥重政
• - 小野坂昌也・竹本英史のネオロマ&無双：小野坂龍虎、竹本ポルト

パワーアップキット

パワーアップキットでは、以下の要素が追加されました。

• - 新シナリオ・新武将の追加：全国モード5本、群雄覇権モード6本、新武将約120人
• - AIエディタ・勢力登場切替の追加：大名の思考パターンを編集、ゲーム開始時の登場勢力を設定
• - 文化の概念の追加：武家、公家、寺社、南蛮の4系統32種類の文化

『信長の野望・天道』は、戦略性と自由度の高いゲームシステムで、歴史シミュレーションゲームファンから高い評価を受けています。パワーアップキットにより、さらに多様なプレイスタイルが楽しめるようになりました。

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