倉石武四郎

倉石 武四郎（くらいし たけしろう）

生涯と学歴

倉石武四郎は1897年9月21日に新潟県高田町で、十三人兄弟の四男として誕生しました。倉石家は地元で名の知れた一家で、彼の先祖には高田藩校の教授として名を馳せた漢学者、倉石侗窩がいます。彼は高田第二尋常小学校、そして新潟県立高田中学校を経て、第一高等学校に進学します。1921年、東京帝国大学文学部支那文学科を卒業し、ここでの学びが後の学問の基礎となります。

在学中、彼は三木清や瀧川政次郎らとともに学び、卒業論文では中国天文学について論じました。この時期、青木正児が提唱する文学革命に影響を受け、中国への興味を深めました。その後、京都帝国大学の大学院に進むことを志し、中国旅行を経た後、進学を果たしました。

学問の展開

1922年には京都帝国大学の大学院に進学し、新城新蔵の指導のもとで中国天文学を研究しました。また、狩野直喜の下での学びは、彼の学風や性格を形づくる重要な要因となりました。1928年からは、北京での留学生活を経て、国際的な学術交流も活発に行った倉石は、帰国後も京都帝国大学で教育と研究に力を注ぎます。

1930年からは、自己の研究とともに『尚書正義』の定本作成のための会読にも参加し、1939年には文学博士号を取得しています。彼の博士論文は清朝音韻学に関するもので、音韻学の分野における業績が高く評価されました。

教育者としての活動

1940年からは、京都帝大学と東京帝大学の教授を兼任し、戦後には音響学者の小幡重一とともに方言音の研究などを行います。国語審議会においても委員として活躍し、1959年から1961年には副会長を務めるなど、日本の言語政策にも寄与しました。

1949年以降、東京大学文学部の教授として専任となり、多くの著名な学術団体の設立や研究活動に関与。特に、中国文学や中国語教育において新たな地平を切り開く業績を残しました。さらに、1958年には定年退官後も教育活動を続け、日中学院を主宰するなど、その影響力は衰えることがありませんでした。

研究と業績

その研究領域は非常に広範で、清朝音韻学や現代中国文学、中国語学、さらには中国語教育に至る多岐にわたります。特に、ラテン化新文字や拼音の導入に尽力し、また『岩波中国語辞典』の編纂にも関与しました。さらに、彼は中国留学中に集めた蔵書を通じて、東方文化学院京都研究所の漢籍コレクションの基盤を築くことになります。

去る1975年11月14日、倉石は病気によりその生涯を閉じましたが、彼が残した業績は今もなお多くの研究者に影響を与えています。彼の生涯を通しての教育と研究への情熱は、現代の中国語教育に大きな影響を及ぼしています。

家族と後世への影響

倉石武四郎は学問だけでなく、家族にも多くの影響を与えたようです。弟の倉石五郎はドイツ語学者として知られ、他にも著名な学者と親族を持つなど、学問の家系としての面も持っていました。彼の著作や思想は、今なお学界で引用され続け、多くの学生や研究者に引き継がれています。

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