側衆

側衆（そばしゅう）についての詳解

側衆（または御側衆）は、江戸幕府において特に重要な役職であり、将軍の側近としての重責を担っていました。この役職は、役高5000石であり、定員は5から8名と限られた人数で構成されていました。

概要

側衆は、将軍が日常の政務を行う上で常に寄り添い、その意志を直接受ける存在でした。彼らの役割には、将軍への警護や、政務に関する情報の取次ぎが含まれ、将軍の命令を実現するための橋渡し役でもありました。また、奥向きの人事や関連する事務の決定にも影響を持つ重要な立場にありました。役職の上級者である平側衆は、2000から3000石の家禄を持つ旗本から選ばれることが多く、その階級的な地位も格式の一部を成していました。

起源

側衆という役職の起源は、4代将軍徳川家綱の時代に遡ります。1653年（承応2年）、家綱は寝所を大奥から中奥に移動させ、これに伴い、久世広之、牧野親成、内藤忠由、土屋数直の4名が昼夜の交代で仕務めるよう命じたことが始まりとされています。最初は「御側」や「御近習之御奉公」といった別の名称でも呼ばれていましたが、徳川綱吉の時代に「御側衆」という名称が定着しました。

職務

側衆の主な任務は、将軍の周囲で行われる諸事務や政策の監察です。特に、徳川家光の時代には、側衆に監察機権が与えられ、幕府への情報伝達が重要視されました。側衆は政府の重要機関である評定所に出席し、幕藩制社会全般の動きを把握する役割を果たしました。家光が指名した中根正盛は、特にこの任務において重要な人物であり、幕府の舵取りに大きな影響を与えました。

ただし、綱吉の時代になると、側衆の役割は変質し、牧野成貞が側用人となって以降、権勢が薄れました。このことにより、側衆の持つ政治力は次第に減少していきました。

国目付の引き継ぎ

側衆の下に置かれた国目付は、各国の監察を担う役職でしたが、これも側衆の上昇と共に変化がありました。代表的な例として、中根正盛が初めて国目付ながらも側衆として登用されたことが挙げられます。この国目付たちの選任は、時として側衆の任命時期と一致しない状況が見られるため、引き継ぎの時期には注意が必要でした。

まとめ

側衆は、江戸幕府における将軍の直近の侍たちとして、重要な政治的役割を果たしました。時代と共にその役割や権威は変化しましたが、江戸幕府の運営においては欠かせない存在でした。側衆の歴史を振り返ることで、当時の政治構造や権力の志向を理解する手助けとなることでしょう。

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