備中国総社宮

備中国総社宮（びっちゅうのくにそうじゃぐう）

備中国総社宮は、岡山県総社市総社に位置する神社で、備中国の総社として知られています。かつては県社であり、正式名称は「總社」とされています。総社という地名や駅名も、この神社に由来するものです。

概要

総社宮は、総社市の中心部に鎮座しています。古代、国司が国内の神社を巡拝する際、効率化のために国府の近くに国内の神々を合祀した総社を設けました。備中国総社宮もその一つであり、備中国の神々を祀る重要な場所でした。

前庭にある三島式庭園は、古代の様式を今に伝える貴重なもので、後楽園築造の際に参考にされたと言われています。境内は総社市指定史跡となっており、歴史的な価値が認められています。

祭神

主祭神は以下の二柱です。

大名持命（おおなもちのみこと、大国主命）
須世理姫命（すせりひめのみこと）：大名持命の正妻

相殿神としては、以下の神々が祀られています。

御鎮魂八柱神：高皇産霊神、神皇産霊神、魂留産霊神、生産霊神、足産霊神、大宮売神、事代主神、御膳神
備中国内304社の神：官社（『延喜式神名帳』記載の神社）18社、田社（国司の神名帳記載の神社）286社

歴史

総社宮の地には、総社ができる以前、仁徳天皇の皇妃・八田皇女の名代として八田部が設けられました。その後、御友別の子孫が移住し国造となり、野俣神社（現 境内社の沼田神社）を建て周辺一帯の総社としたとされています。大化の改新後、この地に備中国総社が創建されました。

平安時代中期には、『延喜式神名帳』に式内社「備中国賀夜郡 野俣神社」として記載されています。沼田神社がこの論社の一つと考えられています。

室町時代には戦火で社殿が焼失しましたが、1429年に再建されました。しかし、天正年間（1573年-1592年）に再び焼失し、貞享4年（1687年）に再建されました。この際、彩色二十四孝の絵馬が奉納され、商家の信仰を集めるようになりました。豪商の西戎屋などにより京都の一流画家が描いた絵馬が奉納され、大いに繁栄しました。周辺は門前町・宿場町として発展し、総社市の礎を築きました。

明治5年（1872年）11月、近代社格制度において県社に列せられました。

境内

社殿内には、円山応挙の「義家観雁図」や大原呑舟の「林和靖図」などの絵画が掲げられています。

摂末社

境内には以下の摂末社があります。

大神神社：祭神は大物主命（大国主命の和魂）。例祭は10月第3土曜・日曜
荒神社：祭神は猿田彦大神・火産霊神。例祭は10月第3土曜・日曜
清正公神社：祭神は加藤清正公。例祭は10月第3土曜・日曜
和霊神社：祭神は素盞嗚命。例祭は旧暦6月23日。宇和島の和霊神社より勧請。
琴平神社：祭神は大物主命。例祭は旧暦6月9日
沼田神社（沼田天満宮）：祭神は菅原道真公。式内社「備中国賀夜郡 野俣神社」論社。
笑主神社（えびす-）：祭神は事代主命（恵比須さま）。例祭は1月9日・10日
祇園神社：祭神は素盞嗚命。例祭は旧暦6月13日。慶長19年、京都の八坂神社より勧請。
厳島神社：祭神は市杵嶋姫命・湍津姫命・田心姫命。例祭は旧暦6月17日

主な祭事

輪くぐり
力石総社：1994年から開催されている力比べ。
324社祭：相殿神8柱、末社12社、備中国304社の計324社の神饌を奉献する。

文化財

総社市指定文化財として、以下のものがあります。

史跡：総社跡（1994年（平成6年）10月24日指定）

現地情報

所在地：岡山県総社市総社2丁目18-1
交通アクセス：
鉄道：
西日本旅客鉄道（JR西日本）吉備線（桃太郎線） 東総社駅 （徒歩5分）
西日本旅客鉄道（JR西日本）伯備線・吉備線、井原鉄道井原線 総社駅 （徒歩20分）
周辺施設：
まちかど郷土館：南鳥居そばに所在。明治43年に建てられた旧総社警察署で、国の登録有形文化財に登録。
伝備中国府跡
備中国分寺・備中国分尼寺跡

備中国総社宮は、歴史と文化が息づく、総社市の重要な観光スポットです。ぜひ一度訪れてみてください。

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