備後国分寺

備後国分寺の概要と歴史

備後国分寺（びんごこくぶんじ）は、広島県福山市神辺町大字下御領に位置する真言宗大覚寺派の寺院であり、その山号は唐尾山として知られています。本尊には薬師如来が祀られています。この寺院は、奈良時代に聖武天皇の詔に基づいて日本各地に設立された国分寺の一つで、特に備後国分僧寺の後継寺院として重要な役割を果たしてきました。備後国分寺跡や備後国分尼寺跡についても特筆すべき点です。

地理的な位置

備後国分寺は、広島県東部、神辺平野の北縁に位置し、堂々川の東岸に所在しています。古代の国分寺跡は現在の境内の南にあり、周囲には法燈を継ぐ寺院としての歴史的な背景があります。また、寺院の西側には小山池廃寺跡があり、古くからこの地域が文化的中心地であったことを示す多くの古墳群も存在します。中世には戦乱による焼失を経て、江戸時代の洪水によって再建された伽藍が流失するなどの歴史的試練を乗り越え、現在に至っています。

古代の歴史

備後国分寺の創建時期ははっきりしていませんが、天平13年（741年）の国分寺建立の詔の時期から推測されます。当時、国分寺料として稲が2万束配分されるなど、地域社会における重要な寺院であったことがわかります。弘仁11年（820年）の資料にも同様の規定が記されています。

中世から近世にかけての変遷

享保元年（1716年）に成立した「国分寺来由記」には、寺院の由緒として過去の所領や寺院の子院の数が記載されています。永禄4年（1561年）には、神辺城主の杉原盛重によって兵火から立ち直るために草堂が建立されましたが、その後も寺領は減少していきます。延宝元年（1673年）の洪水によって堂舎が倒壊し、一堂のみが残されることになりました。1692年には、薬師堂が建立され、薬師如来や十二神が安置されました。さらに、土砂災害防止のための対策が行われており、洪水による影響を受けた歴史が伺えます。

近代の発掘調査

近代に入ると、1972年度から始まった発掘調査により、古代の国分寺跡が確認されました。調査の結果、主要な伽藍の遺構が発見され、法起寺式の配置であったことが証明されています。金堂、塔、講堂、南門などの遺構が検出され、当時の文化的な重要性を物語っています。

備後国分尼寺跡について

また、備後国分尼寺跡は、備後国分寺から堂々川を挟んで西の小山池廃寺跡にあたるとされています。1976年から1978年、そして1997年にかけて行われた発掘調査によって、尼寺の伽藍配置や弥生の瓦が出土し、白鳳期後半に創建されたことがわかりました。これは備後国分寺と密接に関連しており、奈良時代に国分尼寺として再利用されたことを示唆しています。

まとめ

備後国分寺は、その長い歴史と重要性から広島県内でも特に注目されるお寺です。発掘調査によって明らかになった遺構は、古代日本の宗教や文化の一端を知る手がかりとして非常に貴重です。近年も研究が進められており、これからの発見にも期待が寄せられています。

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