儀智

儀智（ぎ ち、1342年 - 1421年）は、明代に活躍した儒学者であり、官僚としても重要な役割を担った人物です。字（あざな）は居真といい、本籍は膠州高密県にありました。

生涯

洪武帝の末年、その学識が認められ儒者として推挙された儀智は、高密訓導という役職に任命されました。その後、莘県教諭に転じ、さらに高郵州知州に抜擢されると、その地で農業を奨励し、学校を興すことに尽力しました。

1403年（永楽元年）、儀智は宝慶府知府へと転任しました。翌1404年（永楽2年）4月には、その才能を買われて南京に召還され、通政司右通政という要職に就くと同時に、右春坊右中允も兼任することになりました。しかし、同年5月には湖広右布政使へと異動となり、その後、罪に問われて通州に流され労役を科せられるという不遇の時期を過ごします。

1408年（永楽6年）冬、湖広都指揮使であった龔忠の推薦により、儀智は再び中央に召還されることになります。南京に戻った儀智は、礼部左侍郎という重要な役職に任命され、その学識と政治手腕を再び発揮することになりました。

1413年（永楽11年）の元旦には日食が発生しましたが、当時の礼部尚書であった呂震は、例年通り朝賀を行うよう進言しました。これに対し、儀智は強く反対しました。最終的には、左諭徳の楊士奇が朝賀の中止を進言したため、儀智の意見が採用され、元旦の朝賀は中止されることとなりました。

1416年（永楽14年）、皇太孫であった朱瞻基に近侍する儒者を選抜するよう勅命が下ると、吏部と翰林院は、楊士奇と蹇義の推薦により、儀智を筆頭に推薦しました。皇太子朱高熾もこれを承認し、永楽帝もまた、儀智を皇太孫の教育係に任命しました。これにより、儀智は皇太孫の教育に深く関わることとなります。

1421年（永楽19年）、儀智は高齢を理由に官職を辞任し、その後、自宅で亡くなりました。享年は80歳でした。1425年（洪熙元年）には、その功績が認められ、太子少保の位が追贈され、諡号として文簡が贈られました。

儀智には末子に儀銘がおり、その家系は後世に続いています。


人物

儀智は、儒学者として優れた学識を有していただけでなく、官僚としても卓越した能力を発揮した人物でした。教育者としては、各地で学校を興し、人材育成に尽力しました。また、政治家としては、権力者の誤りを恐れず、諫言する勇気を持っていました。その諫言によって、日食の際の朝賀が中止された逸話は、彼の正義感と勇気を象徴するものです。また、皇太孫の教育係を務めたことは、彼の学識と人格が広く認められていたことを示しています。

儀智の生涯は、学問と政治の両面で社会に貢献した人物の模範として、後世に語り継がれています。


参考文献

* 『明史』巻152 列伝第40

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