元琛

元琛（げん ちん）について

元琛は、北魏の皇族であり、河間王として知られています。彼の生没年は不詳ですが、重要な歴史的エピソードが多く残されています。元琛の元々の名前は河間王拓跋若の後を継ぎ、497年に王位に就きました。彼は、斉郡王拓跋簡の子として誕生し、幼少期からその聡明さで注目を浴びました。特に孝文帝からは寵愛を受けていました。

元琛のキャリアは順調に始まり、宣武帝の時代には定州刺史に任命されました。しかし、彼の政治的な道は腐敗によって暗い影を落としました。霊太后の命令により、彼は自らの家を廃されることになりました。この状況から脱するために、元琛は宦官の劉騰に多額の賄賂を送ることで復権を果たし、都官尚書の地位を手に入れました。その後、彼は秦州刺史として出任することとなりましたが、ここでも腐敗行為を繰り返しました。

彼が任じられた秦州では、彼の収奪により多くの民が苦しむこととなりました。521年には、東益州と南秦州の氐が反乱を起こし、元琛は行台として任命されました。だが、彼は氐や羌の軍に対して進軍しましたが、大敗を喫し、数千人の戦死者を出して逃げ帰ることになりました。元琛は、この敗北の後も劉騰の庇護に頼る姿勢を続け、態度を改めることはありませんでした。

その後の524年、彼は御史中尉からの弾劾を受け、官職を剥奪されて民となりますが、同年の7月には再び河間王の爵位を復活させました。9月には南朝梁の裴邃による攻撃を受けた寿陽を救援するために出陣します。彼は酈道元らと共に硤石に到着し、境内を奪回することに成功しましたが、その後の決戦ではまたしても南朝梁の軍に敗れます。

526年、元琛は鮮于修礼の乱を討伐しますが、失敗し再度官爵を剥奪される運命をたどります。この後、彼は汾州や晋州の胡や蜀を攻撃するものの、最終的には軍の中で亡くなりました。彼の河間王としての爵位は、生前に再び復活されていました。

元琛の妻には高氏がいます。彼女は高偃の娘であり、宣武帝の妃の妹でもあります。元琛の生涯は、彼の権力欲と腐敗の歴史が交錯したものであり、北魏時代における政治の一側面を映し出しています。

このように、元琛は輝かしい出発を切ったにもかかわらず、結果的には腐敗がもたらす悲惨な結末を迎えたことが、彼の一生の核心的な要素であったと言えるでしょう。

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