免許を要しない無線局

免許を要しない無線局とは、電波法に基づき、総務大臣の免許が不要な無線局のことです。これらの無線局は、電波を利用する機器を使用する際の例外として、電波法第4条および第4条の2に規定されています。一般に「免許不要局」とも呼ばれます。

免許不要となる無線局の種類

電波法第4条では、免許を要しない無線局は以下の4種類に分類されます。

1. 微弱無線局: 発射する[電波]]が著しく微弱で、総務省令で定められた無線局です。詳細については、[微弱無線局の項目を参照してください。
2. [市民ラジオ]]: 26.9MHzから27.2MHzの周波数帯を使用し、空中線電力が0.5W以下の無線局で、適合表示無線設備のみを使用するものです。以前は簡易無線局として扱われていましたが、現在は免許不要となっています。詳細については、[市民ラジオの項目を参照してください。
3. 小電力無線局: [空中線電力]]が1W以下の無線局で、総務省令で定める機能により他の無線局に妨害を与えないように運用できるもので、適合表示無線設備のみを使用するものです。電波法令上に「小電力」という文言はありませんが、一般的に小電力無線局と呼ばれています。詳細については、[小電力無線局の項目を参照してください。
4. 登録局: [電波]]を発射する際に、同一周波数の電波を受信して一定時間自己の電波発射を停止する機能を持つなど、他の無線局に妨害を与えないように運用できる無線局で、適合表示無線設備のみを使用し、総務省令で定める区域内に開設するものです。使用には総務大臣への登録申請と無線局登録状の交付が必要です。詳細については、[登録局の項目を参照してください。

電波法第4条の2では、以下の2つのケースが規定されています。

1. 訪日外国人による無線設備の利用: 外国から持ち込まれた無線設備（技術基準適合のものに限る）を、入国日から90日以内の期間に限り、適合表示無線設備とみなして使用できるとするものです。対象となる機器は、小電力データ通信システムや5.2GHz帯高出力データ通信システムなどです。ただし、外国から持ち込まれた[携帯電話]]端末やBWA端末は、別の制度で特定無線局とみなされるため、この規定は適用されません。詳細については、[特定無線局の項目を参照してください。
2. 実験等無線局の特例: 小電力無線局用の適合表示無線設備に相当する機器を使用し、実験・試験・調査を行う場合、従前は実験試験局としての免許が必要でしたが、届出を行うことで使用できるようになりました。対象となる機器は、特定小電力無線局、小電力データ通信システム、デジタルコードレス電話、5.2GHz帯高出力データ通信システムなどです。届出日から180日以内の制限があり、同一目的での再度の届出はできません。

免許不要局の操作

[電波]]法施行規則第33条1号では、電波法第4条第1号から第3号までに規定する免許を要しない無線局の無線設備の操作について、無線従事者を必要としない「簡易な操作」と規定しています。また、電波法第4条の2で対象となる無線局は、電波法第4条第3号に該当するものに限られるため、これらの無線局の操作には無線従事者は不要です。登録局については、種別ごとに異なるため、[登録局の項目を参照してください。

免許不要局の沿革

免許を要しない無線局に関する制度は、以下の通り変遷してきました。

1950年（昭和25年）: 電波法制定、微弱無線局について規定。
1983年（昭和58年）: 市民ラジオが免許不要の対象に追加。
1987年（昭和62年）: 小電力無線局が追加（当時の空中線電力は0.01W以下）。
2004年（平成16年）: 登録局が追加。
2011年（平成23年）: 小電力無線局の空中線電力が1W以下に緩和。
2016年（平成28年）: 訪日外国人が持ち込む所定の条件を満たす機器が免許不要の対象に追加。
2019年（令和元年）: 電波法第4条に規定されていたものが、第4条および第4条の2に規定されるようになり、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度が開始。

諸外国の類似規格

日本以外の国でも、免許不要の無線システムが存在します。ただし、周波数が異なるため、これらの機器を日本で使用することはできません。

米国

米国では、連邦通信委員会（FCC）が認証した以下の無線システムが免許不要で使用できます。

Radio Control Radio Service (R/C)
Citizens Band Radio Service (CB)
Family Radio Service (FRS)
Low Power Radio Service (LPRS)
Wireless Medical Telemetry Service (WMTS)
Medical Device Radiocommunications Service(MICS)
Multi-Use Radio Service (MURS)
Personal Locator Beacon (PLB)
eXtreme Radio Service (eXRS)
unlicensed personal communications services (PCS devices)
unlicensed National Information Infrastructure devices (U-NII)
unlicensed ultra-wideband transmission systems (UWB)

CEPT加盟国

欧州電気通信標準化機構（CEPT）では、以下の無線システムについて免許不要の共通化を進めています。SRDは「Short Range Devices」を意味します。

Inductive SRD applications
SRD used for detection of Avalance Victims
Non-Specific SRD
Radio-LAN SRDs
Movement Detection and Alert SRDs
Alarm SRDs
Model control SRDs
Medical Implant SRDs
Wireless Audio SRD Applications
CEPT PR 27 radio equipment
PMR446 (Private Mobile Radio)
LPD433 (Low Power Device)

注: CEPT加盟国であっても、これらのシステムが導入されていない場合もあります。

脚注

 総務省電波利用ホームページ
免許及び登録を要しない無線局
海外から持ち込まれる携帯電話・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用
技適未取得機器を用いた実験等の特例制度

免許を要しない無線局