小電力無線局

小電力無線局とは

小電力無線局とは、電波法に定められた無線局のうち、免許を必要としない無線局の通称です。具体的には、電波法第4条第3号に規定される、空中線電力1W以下の無線局で、総務省令で定める機能により他の無線局の運用を妨害しないように運用できるものが該当します。これらの無線局は、電波法施行規則第6条第4項によって詳細が規定されています。

小電力無線局の定義

電波法では、免許を要しない無線局を規定しており、その中で小電力無線局は、微弱な電波を使用し、他の無線局へ妨害を与えないように運用されるものが該当します。

これらの無線局は、電波法上の正式な用語ではありませんが、「小電力」と称する無線局が含まれることから、通称として広く用いられています。また、電気通信回線に接続する機器は、電気通信事業法上の端末機器としての側面も持ち、技術基準適合認定が必要です。

小電力無線局の種類

小電力無線局には、以下のような種類があります。これらは電波法施行規則第6条第4項の各号に規定されており、最大空中線電力は種別ごとに定められています。

コードレス電話の無線局
特定小電力無線局
小電力セキュリティシステムの無線局
小電力データ通信システムの無線局
デジタルコードレス電話の無線局
PHSの陸上移動局（中継機能を持つものを除く）
狭域通信システムの陸上移動局、及び試験用無線局
5GHz帯無線アクセスシステムの空中線電力10mW以下の陸上移動局および携帯局
超広帯域無線システムの無線局
700MHz帯高度道路交通システムの陸上移動局
5.2GHz帯高出力データ通信システムの空中線電力200mW以下の陸上移動局

これらの無線局を使用する際には、適合表示無線設備として技適マークの表示が必要です。技術基準適合証明番号または工事設計認証番号も併せて表示しなければなりません。さらに、技術基準適合認定を受けた端末機器の場合には、技術基準適合認定番号、設計認証番号または届出番号も必要になります。

旧技術基準による機器の使用

2005年（平成17年）の無線設備規則改正により、旧技術基準に基づく適合表示無線設備には使用期限が設けられました。具体的には、「平成17年11月30日」までに認証されたもの、及び経過措置として「平成19年11月30日」までに認証されたものが対象です。これらの旧技術基準の無線設備には以下のものがあります。

1. コードレス電話の無線局
2. 特定小電力無線局（移動体識別用の2441.75MHz（周波数ホッピング方式）は除く）
3. 小電力セキュリティシステムの無線局
4. デジタルコードレス電話の無線局
5. 狭域通信システムの陸上移動局及び試験用無線局

しかし、2021年（令和3年）8月にこの使用期限はコロナ禍の影響で「当分の間」延期されました。その結果、令和4年12月1日以降、これらの旧技術基準の無線設備は「他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り」使用可能となりました。

小電力無線局の沿革

小電力無線局の制度は、1987年（昭和62年）の電波法令改正により制度化されました。

1987年：制度化当初、空中線電力は0.01W以下で、コードレス電話の無線局のみが対象でした。
1989年：特定小電力無線局が追加され、種類は告示によって規定されるようになりました。
1992年：小電力セキュリティシステムの無線局、小電力データ通信システムの無線局が追加されました。
1993年：デジタルコードレス電話の無線局、簡易型携帯電話の陸上移動局が追加されました。
1997年：有料道路料金収受システムの無線局が追加されました。
1998年：簡易型携帯電話の陸上移動局がPHSの陸上移動局に改称、ワイヤレスカードシステムの無線局が追加されました。
2001年：有料道路料金収受システムの無線局は、狭域通信システムの陸上移動局に改称されました。
2002年：ワイヤレスカードシステムの無線局が削除され、5GHz帯無線アクセスシステムの陸上移動局が追加されました。
2006年：超広帯域無線システムの無線局が追加されました。
2011年：最大空中線電力が1Wに緩和され、700MHz帯高度道路交通システムの陸上移動局が追加されました。
2012年：5GHz帯無線アクセスシステムの携帯局が追加されました。
2018年：5.2GHz帯高出力データ通信システムの陸上移動局が追加されました。

まとめ

小電力無線局は、私たちの身の回りで様々な用途に使用されており、電波法の規制のもと安全に利用されています。技術の進歩とともにその種類も変化しており、今後も新しい技術が導入される可能性があります。この記事が小電力無線局についての理解を深める一助となれば幸いです。

外部リンク

* 総務省電波利用ホームページ

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