児玉元良

児玉元良は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、毛利氏の家臣として重きをなしました。特に五奉行の一人として、毛利氏の政務を支えたことで知られています。

元良は毛利氏の家臣・児玉就忠の子として生まれ、天文22年（1553年）に毛利隆元を烏帽子親として元服しました。永禄5年（1562年）に父・就忠が病没すると家督を相続し、同時に毛利氏の五奉行の地位も引き継ぎ、天正12年（1584年）までその職を務めました。

元良は武将としても活躍し、永禄8年（1565年）には毛利輝元の指揮下で月山富田城の戦いに従軍しました。元亀元年（1570年）には、山中幸盛率いる尼子再興軍との布部山の戦いにも参加しています。織田氏との対立が激化すると、播磨国方面にも進出し、天正6年（1578年）の上月城の戦いにも従軍しました。このように、元良は毛利氏の勢力拡大のために各地を転戦しました。

外交面でも元良は重要な役割を担い、天正12年（1584年）には毛利氏の使者として伊予国の河野氏のもとへ派遣されています。これは、毛利氏が四国方面への影響力を強めるための外交交渉の一環であったと考えられます。

天正13年（1585年）11月19日、元良は死去しました。毛利輝元はその死を深く悼み、翌日には粟屋元種に書状を送り、元良の遺族を慰めるよう依頼しています。このことからも、元良が毛利氏にとって非常に重要な人物であったことがうかがえます。

また、元良には二の丸殿（清泰院）を巡る逸話が残されています。「古老物語」によると、二の丸殿は幼少の頃に自宅門前で遊んでいたところ、その美しさゆえに通りかかった毛利輝元の目に留まりました。その後、輝元はしばしば元良の屋敷を訪問するようになったといいます。しかし、輝元のそうした行動を快く思わない元良は、天正12年に二の丸殿を杉元宣のもとに嫁がせました。このことが後に、輝元による二の丸殿の強奪、元宣による豊臣秀吉への直訴計画、そして小早川隆景による元宣殺害へと繋がるという悲劇を生むことになりました。この逸話は、当時の武将たちの人間関係や権力闘争の複雑さを物語っています。

参考文献
『萩市史・第一巻』
三卿伝編纂所編、渡辺世祐監修『毛利元就卿伝』（マツノ書店、1984年）
岡部忠夫編『萩藩諸家系譜』（マツノ書店、1999年復刻）
防長新聞社山口支社編 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修、防長新聞社、1966年3月。

関連項目
* 毛利輝元

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