公開対局 (将棋)

公開対局と席上対局：プロ棋士の公開対局の歴史と事例

将棋のプロ棋士による対局を、一般のファンが観戦できるよう公開する形式を「公開対局」と呼びます。単に開始時や終局間際に少し公開する、あるいはインターネットやテレビで中継するだけでは、公開対局とはみなされません。特にタイトル戦では、午前中は非公開の対局室で対局が行われ、午後から終局までを舞台上で公開するケースが多いです。

公開対局の一種として「席上対局」があります。こちらは、イベントなどにおいて、観衆が見物・観戦することを主な目的として、舞台上で行われる対局を指します。対局が企画される段階から公開が前提となっており、公式戦のように公開が目的ではない対局が、何らかの事情で非公開になったとしても、席上対局とは呼ばれません。イベントの余興として行われる対局は、しばしば「席上対局」と呼ばれ、「将棋まつり」などのイベントでも広く用いられています。

「人間将棋」など、見世物として企画される対局もありますが、舞台上で行われないため席上対局とは区別されます。逆に、公式戦であっても、舞台上で椅子に座って行われる対局は、公開対局と呼ばれます。

タイトル戦以外の棋戦やイベントにおける公開対局・席上対局では、観客向けに大盤解説が行われることも多く、解説者は駒の名称や符号を伏せて解説することがあります。

「席上対局」は「公開対局」の一種であるため、席上対局といえば公開されることを意味します。しかし、イベント主催者が両方の意味を強調したい場合は「公開席上対局」と呼ぶこともあります。

プロ棋戦における公開対局

プロ棋戦における公開対局の形態は様々です。将棋日本シリーズプロ公式戦のように全対局を毎年公開するもの、YAMADAチャレンジ杯のように一部対局のみ毎年公開するもの、竜王戦七番勝負のように、特定の年度の一部の対局の一部のみを限定的に公開するものなどがあります。

棋戦以外での公開対局

様々なイベントでも公開対局が行われてきました。例として、2005年の瀬川晶司九段のプロ編入試験第1局（試験官は佐藤天彦九段）、女流棋士フェスティバル、ペア将棋選手権、プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの対局などが挙げられます。

席上対局が行われるイベント

「将棋の日」、「将棋まつり」などのイベントでは、席上対局が行われます。また、「公開模範対局」というイベントでは、静岡新聞・静岡放送と山梨日日新聞・山梨放送が共催し、両県のアマ名人との公開対局が行われます。

公開対局・席上対局が行われた場所

公開対局・席上対局は、イベントホールやイベント会場のステージ上で行われることが一般的ですが、対局室をそのまま公開するケースもあります。場所としては、イベント関連施設やホテルが多いですが、これまでに岡崎城二の丸能楽堂、熊本城、大塚国際美術館、彦根城博物館能舞台、大國魂神社「鶴の間」、国立競技場駅、蔵前国技館など、様々な場所で公開対局が行われてきました。

特に、1975年の第14期十段戦第2局1日目に蔵前国技館で行われた公開対局は、タイトル戦で初めて公開された事例として歴史的に重要な出来事です。当時、タイトル戦のテレビ中継は行われておらず、約8000人の観衆が見守る中、土俵の上で対局が行われました。

このように、公開対局は将棋界の歴史の中で様々な形で実施され、ファンとの距離を縮める役割を果たしてきました。今後も、新たな試みと共に、将棋の魅力を伝える重要な要素として発展していくでしょう。

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