六甲山神社

六甲山神社：石の宝殿に秘められた歴史と信仰

六甲山神社は、兵庫県西宮市山口町、六甲山最高峰から東へ1kmほどの場所に位置する、標高840mの峰に鎮座する神社です。廣田神社の境外末社であり、祭神である菊理媛命から「白山の宮」とも呼ばれています。特に、石の宝殿と呼ばれる巨大な石祠（六甲山石宝殿）があることで知られています。

祭神

主祭神は菊理媛命で、加賀国白山の白山比咩神社と同じです。しかし、六甲山神社の境内には、石製の神殿の奥に六甲山大権現も祀られています。この六甲山大権現こそが、神社名由来の古くからの主祭神と考えられています。

六甲山石の宝殿が「広西両宮絵図」に西宮鎮守と記されていること、六甲山全域がかつて廣田神社の社領であったこと、そして六甲山がかつて向津峰と呼ばれていたことから、廣田神社の祭神である撞賢木厳魂天疏向津媛命の奥宮として捉えるのが最も整合性があると考えられています。

歴史

六甲山神社の創祀年代は不明です。しかし、石の宝殿には慶長18年（1613年）に南麓の越木岩神社の氏子らが建立したという刻銘があり、建立年が判明している石祠としては県下で2番目に古いものです。

石祠が設置される以前から、この場所は霊場として認識されており、いくつかの言い伝えが残っています。

神功皇后が三韓征伐で持ち帰った神の石を納めた場所である。
祠のそばにあるウツギの根元に神功皇后が黄金の鶏を埋めたため、元旦の黎明には鶏の鳴き声が六甲山に響き渡る。
六甲山は山伏や天狗に関する伝説が多く、昔は山中に88の社があり、石の宝殿はその中心として神々が四方の高山へ修行に出たと伝えられる。

これらの伝説から、六甲山は山岳信仰、特に中世に白山修験の山伏によって開かれた修験道の霊山であったと考えられています。社殿には白山の古文書が伝えられています。

田辺眞人氏の著書によれば、中世末に山稼ぎに入った東麓の社家郷（西宮市）の人々がこの地を霊場として見つけ、彼らの氏神である西宮神社の末社としたのではないかと推測されています。寛政元年（1789年）には、山頂が遠すぎるという理由で西宮神社に勧請され、境内摂社六甲山神社として祀られるようになりました。

越木岩神社にも六甲山神社が末社として祀られていることを考慮すると、越木岩新田の村人が建立したと見るのが妥当かもしれません。その後、様々な事情を経て、西宮神社末社、廣田神社末社として祀られるようになったと考えられます。

信仰

六甲山神社は、古来より雨乞いの場として利用されてきました。日照りが続くと、山麓の村々の農民が般若心経と雨乞いの呪文を唱えました。石の宝殿は、船坂川、仁川、芦屋川、住吉川などの分水嶺上に位置しており、神戸市東灘区から西宮、宝塚、さらには北神地区の唐櫃に至る地域はもちろん、摂津国外からも雨乞いに訪れたという記録が古文書に残っています。

東灘の小路村では、干ばつの夏に村人が一晩こもって般若心経と雨乞いの呪文を唱えましたが、雨が降らなかったため、沢蟹を捕まえて宝殿に投げつけたところ、神の怒りで雨が降ったという逸話があります。隣の田辺村では、参籠しても雨が降らない場合、雨蛙を2匹石祠に擦り潰して帰ったと伝えられています。

現在でも、水不足の際には周辺各市の水道関係者が、ここで修行者に雨乞いの祈祷を依頼することがあります。また、祠の脇にある縁起書には、「水商売繁盛の神」として紹介されています。

神事

菊理姫祭：9月9日
閉山祭：11月下旬

周辺情報

六甲山最高峰：兵庫県道16号明石神戸宝塚線を西へ1km
芦有ドライブウェイ 宝殿インターチェンジ
奥池

六甲山神社は、豊かな自然に囲まれた神聖な場所であり、歴史と信仰が息づいています。六甲山を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

参考文献

田辺眞人『神戸市の伝説 新版』神戸新聞出版センター、1998年。ISBN 4-87521-076-0。
『神戸新聞』2008年12月22日 - 神戸新聞　読者クラブ：絶景と秘められた歴史　六甲山石宝殿　白山の宮　西宮市山口町　－　社寺巡礼

関連項目

六甲修験
六甲比命神社

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