六観音御池

六観音御池：霧島連山の神秘的な湖

六観音御池は、宮崎県えびの高原北部にある、直径約440メートルの火山性湖沼です。別名、六観音池や御池とも呼ばれ、その美しい景観と歴史的な背景から、多くの人々を魅了しています。

地理的な特徴

この湖は、流入河川や流出河川を持たない閉鎖性の湖沼です。しかし、大雨時には、近くの白紫池から水が流れ込むことがあります。冬期には水位が約1メートル低下し、結氷することもあります。

水質はpH3.4～4.8という強い酸性を示し、透明度が高いため、濃い青色をしています。その美しい青は、フォーレル水色標準で3番に相当します。この池の水は、えびの高原にある施設の水源として利用されています。

周囲はモミ、ツガ、アカマツなどの樹木に囲まれた原生林が広がり、静寂な雰囲気を醸し出しています。池の北岸には、六観音堂が建ち、参道には屋久杉を移植したと伝わる巨木「六観音杉」がそびえ立っています。えびの高原駐車場からは、白紫池、六観音御池、不動池を巡る自然研究路が整備されているため、気軽に散策を楽しむことができます。

形成と歴史

六観音御池は、およそ2万年前、霧島火山群の活動によって形成されたと考えられています。入戸火砕流噴出から韓国岳の形成期の間、水蒸気爆発によって生まれたマール湖であるとされています。

歴史的にも由緒ある場所で、959年（天徳3年）、性空という僧が池畔で法華経を唱えていると、白髪の老人が現れ、自らをヤマトタケルと名乗り、白鳥となってこの山に住んでいると語ったという伝説が残っています。性空は、この出来事をきっかけに6体の観音像を彫刻し、池畔に御堂を建てて安置したと伝えられています。江戸時代には、毎年9月28日に六観音堂で祭礼が行われていたそうです。

六観音御池の魅力

六観音御池は、その美しい景観だけでなく、火山活動の歴史、そして歴史的な伝説が織りなす独特の雰囲気を持つ場所です。周囲の豊かな自然と、静寂に包まれた空間は、訪れる人々に深い癒しを与えてくれます。

湖の濃い青色の水、原生林の緑、そして歴史を感じさせる六観音堂の調和は、まさに自然と歴史が融合した、かけがえのない景勝地です。えびの高原を訪れた際には、ぜひ足を運び、その神秘的な魅力を体感してみてください。

アクセスと周辺情報

六観音御池へは、えびの高原の駐車場から自然研究路を利用するのが便利です。周辺には、白紫池や不動池など、他の湖沼や自然豊かな散策路も整備されているため、一日かけてえびの高原の自然を楽しむことができます。

また、えびの高原には、宿泊施設や食事処なども充実しているため、ゆっくりと滞在して、この地域の豊かな自然を満喫することも可能です。

参考文献

えびの市郷土史編さん委員会編 『えびの市史 上巻』 宮崎県えびの市、1994年
田中正明 『日本湖沼誌』 名古屋大学出版会、1992年
水沼栄三 「霧島山頂火口湖の水質」 『霧島山総合調査報告書』 霧島山総合研究会、1969年
牧園町郷土誌編さん委員会編 『牧園町郷土誌 改訂版』 牧園町長川畑義照、1991年

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