内厩寮

内厩寮について

内厩寮（ないきゅうりょう）は、奈良時代後期に設置された令外官の一つで、宮廷の厩を管理する役所です。天平神護元年（766年）に設置されました。

組織

内厩寮の組織は、頭（従五位上）、助（正六位下）、大允（正七位下）、少允（従七位上）、大属（従八位上）、少属（従八位下）といった官職で構成されており、その構成は左右馬寮と全く同じでした。

しかし、官人の任命記録を読み解くと、宝亀年間から延暦年間にかけて、頭の多くは近衛府の中将や少将が兼任しており、他の官人も衛府の要職を経験した者が多く、位階も官位相当を超えていたようです。これは、近衛府、中衛府、外衛府の成立に応じて、内廷の武備を固め、儀容を整える目的があったと考えられています。

職掌

内厩寮は、主に内廷の馬を扱うことを職務としていました。

『本朝事始』によると、宝亀6年（775年）の宴で青馬を献上した記録があります。
太政官符の記録からは、内厩寮が信濃国に牧を所有し、馬を貢上させていたことが分かります。この牧は、後の勅旨牧につながるものと考えられています。
また、摂津職から内厩寮に、調銭で交易された乾燥した土地1000囲が進上された記録があり、内厩寮が中央で相当数の馬を飼育していたことが伺えます。
『続日本紀』には、延暦元年（782年）に落雷で内厩寮の馬が2頭死亡したという記述があります。

歴史

内厩寮成立後も左右馬寮は存続しましたが、宝亀10年（779年）以降、左右馬寮の任命記事は少なくなり、天応元年（781年）からは主馬寮の記事が現れるようになります。

内厩寮は、『日本後紀』の延暦25年（806年）の坂上石津麻呂が頭に任命された記録と、主馬寮が同年の4月に藤原山人が権助に任命された記録をもって、その後の記録が見られなくなります。

大同3年（808年）には、左右馬頭として藤原清主と坂上石津麻呂の任命記事があり、この時に内厩寮はその役割を終え、主馬寮とともに再編されて、9世紀初めには廃止されたと推定されています。

まとめ

内厩寮は、奈良時代後期に宮廷の馬を管理するために設置された役所であり、近衛府の武官が兼任するなど、軍事的な側面も持っていました。その役割は、9世紀初頭に主馬寮と共に再編される形で幕を閉じました。

参考資料

『角川第二版日本史辞典』
『続日本紀』
* 『日本後紀』

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