内子線

内子線

内子線は、愛媛県大洲市の新谷駅から喜多郡内子町の内子駅に至る、四国旅客鉄道（JR四国）の地方交通線です。全長5.3kmの単線非電化路線で、全線が愛媛県内に位置しています。この路線は、予讃線の短絡ルートの一部として重要な役割を果たしており、特急「宇和海」などの列車が運行しています。

概要

内子線は、元々愛媛鉄道によって開業した路線で、当初は予讃線の五郎駅から分岐する盲腸線でした。1985年に向井原駅から内子駅までの予讃線支線区間（内山線）が開通したことで、予讃線の短絡ルートの一部となり、特急列車が頻繁に通過するようになりました。しかし、地方交通線に指定されているため、予讃本線に編入されず、内子駅 - 新谷駅間は内子線のままとなっています。

短絡ルートに組み込まれる以前は、1日の輸送密度が500人/日を下回る水準で、国鉄再建法により廃止対象となる可能性がありました。しかし、短絡ルート化により輸送密度が大幅に増加すると見込まれたため、存続が決定しました。内山線は、国鉄再建法によって工事が凍結された他の路線とは異なり、全線が国鉄線として開業した唯一の鉄道公団AB線です。地元住民からは、内子線だけでなく、予讃線の向井原駅 - 内子駅間、新谷駅 - 伊予大洲駅間も「内山線」と呼ばれています。

旅客向けの時刻表や『鉄道要覧』では、予讃線の分岐点を伊予大洲駅としていますが、実際の分岐点は伊予若宮信号場です。内子線のキロポストは高松駅からの距離を示しており、終点から起点に向かって数値が増加する珍しい形式を採用しています。

路線データ

管轄：四国旅客鉄道（第一種鉄道事業者）
路線距離：5.3km
軌間：1067mm
駅数：4駅（起終点駅含む）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：なし（全線非電化）
閉塞方式：単線自動閉塞式
最高速度：110km/h

運行形態

内子線は、予讃線と一体的に運行されており、松山駅 - 宇和島駅間の特急「宇和海」や、松山駅・伊予市駅 - 伊予大洲駅・八幡浜駅・宇和島駅間の普通列車が運転されています。列車の起点は新谷駅ですが、運行上は松山駅・伊予市駅発が下り列車とされています。かつて盲腸線だった時代には、五郎駅 - 内子駅間の区間運転や、伊予大洲駅までの直通列車も存在しました。

歴史

内子線にあたる路線は、1910年に西予電気軌道（後の愛媛鉄道）によって計画されました。当初は郡中駅から八幡浜に至る路線の一部でしたが、後に伊予灘沿いのルートに変更されました。1920年に若宮連絡所 - 内子間が開業し、軽便鉄道としてスタートしました。

年表

1920年5月1日：愛媛鉄道により若宮連絡所 - 内子間が開業（軌間762mm）。
1933年10月1日：国有化され愛媛線となる。
1935年10月6日：1067mm軌間に改軌。五郎駅分岐となり内子線と改称。
1958年11月1日：全列車がディーゼルカー化。
1966年11月27日：内山線（予讃本線短絡ルート）起工式。
1971年12月1日：貨物営業廃止。
1985年11月25日：新谷 - 五十崎間で重軌条化・路盤強化工事開始。
1986年3月3日：予讃本線の向井原 - 内子間、新谷 - 伊予大洲間が開業。内子線が短絡ルートに組み込まれる。五郎 - 新谷間は廃止。
1987年4月1日：国鉄分割民営化により四国旅客鉄道に承継。
2006年4月1日：日本貨物鉄道の第二種鉄道事業廃止。
2020年7月4日：令和2年7月豪雨の影響により一部区間が不通。
2020年7月20日：運転再開。

駅一覧

普通列車は全駅に停車します。特急列車停車駅は「宇和海」の記事を参照してください。すべての列車が予讃線伊予市駅方面と伊予大洲駅方面に直通運転を行います。

新谷駅
五十崎駅
内子駅

廃止区間

1986年3月3日の経路変更に伴い、以下の区間が廃止されました。

五郎駅 - 新谷駅

その他

映画撮影

1988年5月には、廃止された旧線を利用して、映画『ダウンタウン・ヒーローズ』の撮影が行われました。この際には、伊予鉄道1号機（坊っちゃん列車）が使用されました。

選択乗車の特例

向井原駅以遠と伊予大洲駅以遠の間では、内子線経由と伊予長浜経由のどちらの経路でも乗車できる特例があります。

脚注

注釈

出典

関連項目

日本の鉄道路線一覧
国鉄の特殊狭軌線

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