内裏塚古墳

内裏塚古墳（だいりづかこふん）

概要

内裏塚古墳は、千葉県富津市二間塚に所在する前方後円墳で、国の史跡に指定されています。地元では「オダイリヤマ」という名で親しまれており、古墳群の中で最大の規模を誇ります。全長約144メートルにも及ぶその大きさから、5世紀中頃にこの地域を支配した有力者の墓であると推定されています。

この地域は当時、須恵国造の支配下にあり、『国造本紀』によれば、茨城国造の祖である建許侶命の子、息大布日意弥命が須恵国造に任命されたとされています。また、彼の兄弟である深河意弥命は、小櫃川流域の馬来田国造に任命されています。内裏塚古墳の被葬者は、この須恵国造ではないかという説が有力です。また、地元の伝承では、『万葉集』に登場する「珠名娘子」の墓であるとも伝えられています。

規模

内裏塚古墳の規模は以下の通りです。

墳丘長：約144メートル
後円部
直径：約84メートル
高さ：約11.5メートル
前方部
幅：約88メートル
高さ：約13メートル

この規模から、当時の勢力を知ることができます。

調査・出土品

内裏塚古墳は、過去に何度か調査が行われています。1906年には東京大学の坪井正五郎教授らによって、1964年には本郷高校の坂井利明氏によって調査が実施されました。

古墳からは二つの石室が発見されており、東側の第一石室からは二体の人骨と鉄製の武器類が出土しました。北側にあった人骨は、胸の前で腕を折り曲げた状態で仰向けに埋葬されており、鉄直刀や鉄角棒、鉄鎌、長刀などの武器類が確認されています。また、直径13センチ[[メートル]]の青銅鏡1面や、朝鮮半島製の金銅製胡籙金具、鏑矢なども出土しており、当時の文化交流を示す貴重な資料となっています。

墳丘には円筒埴輪が三段に並べられており、家型埴輪や人物埴輪も置かれていたと考えられています。これらの出土品から、古墳が築かれた当時の社会や文化を知ることができます。

まとめ

内裏塚古墳は、千葉県内でも最大級の規模を誇る前方後円墳であり、その歴史的価値は非常に高いものです。古墳の規模や出土品から、当時のこの地域を支配した有力者の存在や、文化交流の様子をうかがい知ることができます。古墳は、古代の歴史を今に伝える貴重な文化遺産として、大切に保存されています。

参考文献

富津市史編さん委員会『富津市史』富津市発行、1984年
大塚初重「内裏塚古墳群を歩く（私の歴史散歩）」『本郷』第80号、吉川弘文館、2009年、28-30頁。

関連項目

房総の魅力500選
須恵国造

外部リンク

内裏塚古墳 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
* 文化遺産オンライン 内裏塚古墳

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