円谷峻

円谷峻（つぶらや たかし）

プロフィール

円谷峻は、1945年5月7日に生まれ、2017年2月25日に逝去した日本の法学者です。民法と消費者法を専門とし、特に契約法、不法行為法、消費者契約法の分野で顕著な研究業績を上げました。横浜国立大学の名誉教授であり、その教育者としての功績も高く評価されています。

学歴

福島県出身の円谷峻は、1969年に横浜国立大学経済学部を卒業後、1971年に一橋大学大学院法学研究科修士課程を修了しました。1974年には同大学院の博士課程を単位取得退学しています。指導教官は、著名な法学者である好美清光教授でした。

職歴

1974年、円谷峻は横浜国立大学経営学部の専任講師として教鞭を執り始め、1975年には助教授に昇進しました。1989年には教授に就任し、1990年には同大学の国際経済法学研究科教授となりました。1994年には国際開発研究科教授を兼任し、1999年から2006年まで国際経済法学研究科長を務めました。2006年に横浜国立大学を定年退任し、名誉教授の称号を授与されました。その後、明治大学大学院法務研究科（法科大学院）の専任教授として教鞭を執り、2016年に退任しました。

その他の活動

円谷峻は、教育・研究活動以外にも、社会貢献活動に積極的に関わりました。1999年4月から2003年3月まで横浜国立大学の評議員を務め、2002年4月から2005年3月まで法務省司法試験考査委員を務めました。2009年4月からは消費者法学会理事と消費者教育支援センター理事を兼任し、公益法人自動車製造物責任相談センターの副理事長にも就任しました。さらに、2012年4月から2016年3月まで放送大学の客員教授も務めました。これらの活動を通じて、法学の普及と社会への貢献に尽力しました。

逝去

2017年2月25日、円谷峻は胃がんのため品川区内の病院で逝去しました。享年71歳でした。その功績を称え、叙従四位、瑞宝中綬章が追贈されました。

家族

円谷峻の妻は弁護士の円谷瑛子であり、子息には同じく弁護士の円谷順がいます。

主要著書

円谷峻は、数多くの著作を執筆・編集し、法学研究に大きく貢献しました。以下に主な著書を挙げます。

単著

『契約の成立と責任』（1988年、一粒社）
『比較財産法講義』（1992年、学陽書房）
『現代契約法の課題―国際取引と民法理論―』（1997年、一粒社）
『新・契約の成立と責任』（2004年、成文堂）
『不法行為法・事務管理・不当利得―判例による法形成』（2005年、第2版2010年、第3版2016年、成文堂）
『ドイツ民法総論―設例・設問を通じて学ぶ』（翻訳）（2008年、第2版2015年、成文堂）
『債権総論―判例を通じて学ぶ』（2008年、第2版2010年、成文堂）
『民法』（2013年、放送大学教育振興会）

共著

（好美清光）『消費者の保護 : 各国の事例にみる現状と対策』（翻訳）（1986年、東洋経済新報社）
（内田勝一）『基本判例2 民法総則・物権』（1999年、法学書院）
（山田卓生）（野村豊弘）（鎌田薫）（新美育文）（岡孝）（池田真朗）『分析と展開 民法Ⅰ総則・物権』（第3版2004年、弘文堂）
（山田卓生）（野村豊弘）（鎌田薫）（新美育文）（岡孝）（池田真朗）『分析と展開 民法Ⅱ債権』（第5版2005年、弘文堂）
（武川幸嗣）『民法』（2017年、放送大学教育振興会）

編著

『二一世紀判例契約法の最前線 : 野村豊弘先生還暦記念論文集』（2006年、判例タイムズ社）
『損害賠償法の軌跡と展望 : 山田卓生先生古稀記念論文集』（2008年、日本評論社）
『社会の変容と民法典』（2010年、成文堂）
『民法改正案の検討 第1巻-第3巻』（2013年、成文堂）
『新たな法規律と金融取引約款』（2015年、成文堂）

参考

* 『民事責任の法理―円谷峻先生古稀祝賀論文集』（2015年、成文堂）

これらの著作は、日本の民法研究に大きな影響を与え、法学教育においても重要な役割を果たしています。円谷峻の遺した業績は、今後も法学の発展に貢献し続けるでしょう。

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