再興感染症

再興感染症とは

再興感染症（さいこうかんせんしょう）とは、一度は発生が減少していた感染症が再び注目されるようになった疾患を総称する言葉です。これらの感染症は、抗生物質やワクチンの進歩により過去には制圧されたものの、様々な要因によって再び公衆衛生における深刻な問題になることがあります。

再興感染症の定義と背景

世界保健機関（WHO）の定義によると、再興感染症は「かつて存在し、公衆衛生上の問題がほとんど解消された感染症が、近年再び増加しているか、将来的に問題となる可能性があるもの」とされています。このような定義が初めて示されたのは1990年であり、今なおその重要性が増しています。

再興感染症としては、結核やマラリア、デング熱、狂犬病、そして黄色ブドウ球菌感染症などが挙げられます。これらは、一度は制圧されたものの、現代において再びそのリスクが高まっています。

再興感染症が増加する原因

いくつかの要因が再興感染症の増加に寄与しています。

• - 耐性菌の増加: 抗生物質の使用が普及する中で、一部の細菌が抗生物質に対する耐性を獲得し、治療が困難になっています。特に結核や黄色ブドウ球菌感染症は、その影響が顕著です。

• - 地球温暖化による生態系の変化: 環境の変化は感染症のリスクを高め、その結果、これまで発生しなかった地域でも感染症が大きな問題になる可能性があります。

• - 交通手段の発達: 国際的な移動が以前にも増して容易になったため、感染症が世界中で瞬時に広がる恐れがあります。感染症の発生地域の人々が他の地域に移動することで、感染が拡大するリスクが増加しています。

• - 病原性の強毒化: 微生物が変異し、より強力な病原性を持つ株が出現することも重要な要因とされています。これにより、感染症による健康影響が増大する可能性があります。

主な再興感染症の具体例

再興感染症には様々な種類が存在します。

• - ウイルス性感染症: インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、デング熱ウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルスなどが含まれます。
• - 細菌性感染症: サルモネラ感染症、腸チフス、赤痢、コレラ、黄色ブドウ球菌感染症、化膿レンサ球菌感染症、結核、ジフテリア、梅毒、ペストなどが例として挙げられます。
• - 寄生虫性感染症: マラリア、アメーバ赤痢、エキノコックス症なども再興感染症に含まれます。

まとめ

再興感染症は、過去に一度制圧されたにもかかわらず、さまざまな要因によって再び注目されるようになった感染症群です。これらの感染症についての理解を深めることは、公衆衛生の観点から重要です。今後もこれらの疾患に対する適切な対策を講じる必要があります。

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