出水山地

出水山地（いずみさんち）

出水山地は、九州南西部の海岸沿いに位置する山地で、東西約30キロメートル、南北約15キロメートルの範囲に広がっています。この山地は、別名「紫尾山地（しびさんち）」とも呼ばれています。地理的には、北側に出水平野や肥薩火山群、南東側には北薩火山群や宮之城盆地、南西側には川内平野が位置しており、西側は東シナ海に面しています。出水山地は、鹿児島県の出水市、伊佐市、さつま町、薩摩川内市、阿久根市にまたがって広がっています。

地理

出水山地の地形的な特徴として、紫尾山を除いては、標高400メートルから600メートル程度の比較的低い山々が連なっていることが挙げられます。この山地は、寒蘭（薩摩寒蘭）の産地としても知られており、美しい自然環境が保たれています。

主な山岳

出水山地には、以下の主要な山々があります。

紫尾山（しびさん）：標高1066.8メートルで、山地の中で最も高い山です。
土取山（つちとりやま）：標高574.1メートル。
石堂山（いしどうやま）：標高600.1メートル。
鹿倉山（かなくらやま）：標高585.5メートル。

地質

出水山地の地質は、九州山地南東側と同様に、四万十層群と呼ばれる地層から構成されています。山地の中央部には延岡-紫尾山構造線が、西端部には仏像構造線が走っており、これらの構造線は出水山地付近を境にして方向を変化させています。この構造は「北薩の屈曲」と呼ばれ、中新世に沖縄トラフと日本海の拡大に伴って地殻が折り曲げられたことを示しています。

この屈曲によって形成された隆起地形が出水山地です。また、山地の北部には出水断層帯と呼ばれる活断層帯が走っており、1997年には鹿児島県北西部地震が発生しました。この断層帯は、現在も活動が続いており、地震活動に注意が必要です。

紫尾山の西側には、約1500万年前に形成された「紫尾花崗岩体」と呼ばれる直径約11キロメートルの花崗岩ドームが存在します。出水山地において紫尾山の標高が特に高いのは、この花崗岩ドームの形成時に周辺の地層が加熱され、緻密なホルンフェルスへと変化し、侵食から取り残されたためです。この地質学的特性が、出水山地の独特な地形を形成する要因となっています。


出水山地は、その特異な地質構造と美しい自然環境から、学術的にも観光資源としても価値のある地域です。

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