切目王子

切目王子神社について

切目王子（きりめおうじ）は和歌山県日高郡印南[[町]]に位置する神社であり、九十九王子の一つとされています。切目王子は『紀伊続風土記』で紹介される五体王子の一社で、ナギが神木とされており、本地仏は十一面観音です。この神社は1959年に県指定の史跡として認定されています。

歴史

切目王子神社の創建は古く、社伝では崇神天皇の時代にまで遡るとされています。神社は、かつて熊野権現が鎮座していた場所とも言われています。天仁2年（1109年）には「切部水辺」での祓いや王子社への奉幣が記録され、さまざまな中世の熊野参詣記にも登場します。特に平清盛がこの王子で京に引き返したという伝説が有名です。

また、中世には熊野詣の旅において歌会が行われており、参加者の中には歌を記すことを習慣としていた者もいました。この際に使われる紙は熊野懐紙と称され、その中でも11通は後鳥羽院が開いた1200年の歌会に関するもので、西本願寺に所蔵されています。

さらに、天正13年（1585年）には兵火により社伝が焼失しましたが、ある比丘尼が約7ヶ月の歳月をかけて再建したとされています。境内には、かつては大塔宮社が存在していたことが『紀伊続風土記』に示されています。その後、寛文2年（1663年）には紀州藩主徳川頼宣より御戸帳や絵馬が寄進され、1686年には現在の社殿が再建されました。

伝説

切目王子には「きな粉の伝説」が有名です。昔、切部の王子が僧を殺し、捕らえられて右足を切断された後に山へ追放されました。しかし王子は熊野参詣の者から利生を奪う存在となり、多くの参詣者を嘆かせました。そこで熊野権現は稲荷大明神と協議し、きな粉で化粧した者には害を及ぼさないとする約束が交わされました。これにより、参詣者たちは信仰の象徴としてきな粉で化粧をするようになりました。

この風習は実際に行われており、応永34年（1427年）の記録では王子社の前を通過する際に、顔にきな粉をつけた者が多く見られたことが述べられています。

文化財

切目王子神社にはいくつかの重要な文化財が存在します。1959年には切目王子跡が県指定史跡に認定され、また境内の「切目神社のほるとのき」も天然記念物に指定されています。この巨木は推定で樹齢300年以上、幹周りは約4メートルにも達します。

交通アクセス

切目王子神社へのアクセスは、JR紀勢本線切目駅から徒歩で約15分の距離にあります。

関連項目

切目王子は熊野信仰や熊野古道、九十九王子の一部として重要です。また、石見神楽には「切目（王子）」という演目も存在します。地域の歴史や文化を深く理解するために訪れる価値のあるスポットです。

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