前山寺

前山寺（ぜんさんじ）

概要

前山寺は、長野県上田市前山にある真言宗智山派の寺院です。獨股山（または独鈷山）という山号を持ち、本尊には大日如来が祀られています。標高1,266メートルの独鈷山の山麓に位置し、かつて塩田城の鬼門を守る役割も担っていました。特に、国の重要文化財に指定されている三重塔は、「未完成の完成の塔」として知られ、その独特な美しさで人々を魅了しています。また、境内では鬼ぐるみを使った胡桃おはぎが名物として親しまれています。

歴史

前山寺の創建は、812年に弘法大師空海が護摩修行の霊場として開いたと伝えられています。当初は法相宗と三論宗を兼ねていましたが、1331年に善通寺から長秀上人が訪れ、寺を現在の地に移して規模を拡大しました。その後、貞享年間（1684年～1687年）に真言宗智山派に改宗されました。

境内

三重塔：
国の重要文化財に指定されている三重塔は、室町時代に建立されたと推定されています。和様と禅宗様を折衷した様式で、三間三重、高さ19.5メートル、屋根は杮葺きです。二層と三層には窓や扉、廻縁、勾欄はありませんが、長い胴貫が四方に突き出し、独特の調和を生み出しています。この特徴から「未完成の完成の塔」と呼ばれています。
本堂：
約400年前に建てられた木造茅葺屋根の本堂は、間口十間、奥行八間という大きな建物です。
奥の院：
奥の院は、かつて護摩修行の霊場であった岩屋堂です。現在、岩屋の中には弘法大師が安置されています。1793年には西国三十三所観音札所の仏像が祀られましたが、明治時代に損壊や盗難に遭い、現在は近隣の石工組合の協力により復元された石造の観音像が祀られています。

所在地

長野県上田市前山300

交通アクセス

上田交通別所線塩田町駅から徒歩で約40分。

拝観情報

拝観時間：9時～16時
入山料：200円

周辺寺院

前山寺のある塩田平周辺は、「信州の鎌倉」とも呼ばれており、鎌倉時代から室町時代にかけての中世の文化財が多く残っています。周辺には以下のような寺院があります。

安楽寺：国宝の八角三重塔など
大法寺：国宝の三重塔など
常楽寺：重要文化財の多宝塔
中禅寺：重要文化財の薬師堂など
信濃[[国分寺]]：重要文化財の三重塔
龍光院

参考文献

前山寺由緒書
『信州の文化シリーズ 寺と神社』1981年 信濃毎日新聞社
『探訪 信州の古寺 天台宗・真言宗』1996年 郷土出版社

外部リンク

* 公式ウェブサイト

前山寺は、歴史と文化が深く息づく場所であり、訪れる人々に静寂と安らぎを与えてくれます。特に、「未完成の完成の塔」と呼ばれる三重塔は、その独特な美しさで訪れる人々を魅了しています。また、名物の胡桃おはぎは、参拝後の休憩に最適です。上田市を訪れる際には、ぜひ前山寺を訪れて、その歴史と文化に触れてみてください。

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