前田利建

前田 利建について

前田利建（まえだ としたつ）は、1908年3月17日に生まれ、1989年9月19日に逝去した日本の宮内官僚および華族（侯爵）である。彼は旧加賀藩前田家の第17代当主で、その家系は長い歴史を有する。

経歴

前田利建は、第16代当主・前田利為の長男として誕生した。母は前田利嗣の長女である渼子である。彼は1943年1月15日に父の戦死を受けて家督を継承し、侯爵を襲爵した。同日、貴族院の侯爵議員に就任し、火曜会に所属した。彼は1947年5月2日まで貴族院に在任していた。

前田は1934年に東京帝国大学文学部を卒業後、1936年に宮内省に入省し、式部官兼主猟官に就任した。その後、内大臣秘書官、帝室博物館の嘱託、さらには臨時内大臣府御用掛など、さまざまな職務を歴任した。

特に1947年10月29日には、金沢市で行われた昭和天皇の戦後巡幸に際して、前田家の成巽閣が宿泊地として利用された。この時、彼は昭和天皇に拝謁し、歴史的な一幕に立ち会った。

さらに、式部官時代の1960年には浩宮徳仁親王（現・第126代天皇）および1965年には礼宮文仁親王（現・皇嗣）の「浴湯の儀」において、鳴弦の儀を執り行うなど、皇室との関わりも深かった。彼の墓所は野田山墓地にある。

親族

前田利建の家族構成は、父・前田利為（陸軍大将で第16代当主）、母・前田渼子（前田利嗣の長女）、妻・前田政子（鳥類学者で黒田長禮侯爵の長女）から成り立っている。彼には長男・前田利祐（第18代当主）、長女・和子（北川正人夫人）、次女・綾子（武富秀夫夫人）がおり、異母兄弟には酒井美意子と前田利弘がいる。

前田利建の歴史は、単に華族としての血筋だけでなく、日本の近代史における重要な役割を担っていたことから、その存在は評価されている。彼の業績と役割は、戦後日本の発展にも影響を与えたと考えられている。

脚注

- 出典:
- 『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
- 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
- 霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 下巻』霞会館、1996年。

関連項目

- 旧前田家本邸 - 元・東京都近代文学博物館
- 鎌倉文学館 - 旧前田別邸

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