前科おんな 殺し節

前科おんな 殺し節

『前科おんな 殺し節』（ぜんかおんな ころしぶし）は、1973年（昭和48年）に日本の東映によって製作・公開された劇場用映画作品です。暴力と情念が渦巻く世界を舞台に、前科を持つ女性の壮絶な生き様を描いたアクションドラマとして位置づけられます。

概要

本作は1970年代の日本映画、特に東映の得意としたジャンルの一つである、アウトローやヤクザの世界を背景にした作品群の中に連なります。主人公を演じるのは、当時の東映ポルノやアクション作品で人気を博した池玲子。そのタイトルからも、主人公が持つ「前科」と、激しい抗争や復讐を示唆する「殺し節」という言葉が組み合わされており、観客に強烈なインパクトを与えることを意図しています。

キャスト

主演の羽鳥マキを演じるのは、本作が代表作の一つとなる池玲子です。彼女を中心に、物語を彩る個性的な俳優陣が集結しています。主な出演者は以下の通りです。

羽鳥マキ：池玲子
芦田かおる：片山由美子
木村夏子：風間千代子
中川雪江：宗田政美
谷政代：杉本美樹
大場喜一：葉山良二
速水：堀田真三
須貝：佐藤晟也
矢吹：北川恵一
尾形：花田達
浜田安太郎：見明凡太朗
浜田鉄：地井武男
大島：伊達弘
宮本：中田博久
照男：菅野直行
淡野亀次郎：小松方正
女囚：竹村清女、小甲登枝恵、章文栄、久保井都子、河野洋子、八百原寿子
大場仔分：木川哲也、高月忠、城春樹、三浦忍、宮地謙吾
浜安仔分：沢田浩二、亀山達也、藤崎英幸、横山繁、清水照夫
羽鳥信太郎：百良雄
中年男：由利徹
賭場の男：日尾孝司、須賀良
取引相手：土山登士幸、比良元高
刑事：高野隆志
中年女：伊藤慶子
米兵：ウィリー・ドーシー

片山由美子、杉本美樹といった東映の女優陣や、ベテラン俳優の葉山良二、アクの強い役柄で存在感を示す小松方正、そして後のテレビドラマでも活躍する地井武男などが重要な役どころを演じています。

スタッフ

本作の制作を支えたスタッフ陣も、当時の東映作品を多数手掛けたベテランが中心です。以下に主なスタッフを挙げます。

監督：三堀篤
脚本：松田寛夫、神波史男
企画：吉峰甲子夫、高村賢治
撮影：飯村雅彦
音楽：八木正生
美術：北川弘
編集：祖田富美夫
録音：内田陽造
スチル：加藤光男
照明：桑名史郎
* 助監督：橋本新一

監督は三堀篤が務め、骨太なドラマを演出。脚本は松田寛夫と神波史男の共同執筆によるもので、スリリングな物語展開に貢献しています。音楽は八木正生が担当し、作品の緊迫感や感情表現を音楽面から盛り上げています。

主題歌

本作の主題歌は「ふうてんぐらし」です。主演の池玲子自身が歌唱しており、作品世界とリンクした歌声で観客に強い印象を与えました。作詞は石坂まさを、作曲は曽根幸明が手掛けています。

評価と位置づけ

『前科おんな 殺し節』は、1970年代の東映が量産した任侠・アクション路線、特に女性を主人公に据えたシリーズの一つとして評価できます。主演の池玲子が、その魅力を最大限に発揮し、過酷な運命に翻弄されながらも力強く生き抜こうとする女性像を体現しています。当時の社会状況や映画の流行を反映した作品であり、今なおカルト的な人気を誇る一作です。主要キャストから助演、端役に至るまで多数の俳優が出演しており、当時の東映の制作体制の一端もうかがい知ることができます。

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