創価教育学会

創価 教育学会（そうかきょういくがっかい）

創価教育学会は、1930年（昭和5年）11月18日に教育者である牧口常三郎と戸田城聖によって創設された団体です。教育の実践を目指して設立され、現在の日本の宗教法人「創価学会」の前身にあたります。

概要

創価教育学会が設立された1930年 11月18日は、牧口常三郎が著した『創価教育学体系』第1巻の発刊日と重なります。この書籍の発行元が「創価教育学会」と記されていたことから、この日が現創価学会の事実上の創立記念日とされています。設立当初、牧口は地理教育を基盤とした独自の教育理論「人生地理学」や、人間生活における「価値」の創造を説く「創価教育学」の実践を目指していました。

宗教との関わり

創価教育学会の設立者である牧口常三郎は、1928年（昭和3年）に日蓮正宗の信仰へと導かれ、入信します。戸田城聖もまた、牧口に続いて日蓮正宗に入信しました。彼らの信仰は、創価教育学会の活動に影響を与え、組織は次第に宗教的な色彩を強めていきます。

しかし、設立当初の創価教育学会は、あくまで教育活動を主眼に置いた団体であり、牧口自身が宗門に提出した資料の中で「純粋な日蓮正宗の組織ではなく、自身の価値論を実践するための独立した団体である」と述べているように、日蓮正宗の信徒団体（講中）として位置づけられていたわけではありませんでした。

沿革

創価教育学会の歩みは、設立者たちの日蓮正宗への入信から始まります。

1928年（昭和3年）：東京で小学校長を務めていた牧口常三郎が、日蓮正宗の信徒からの勧誘（折伏）を受けて入信。長年の知己であった戸田城聖も同時期に入信しました。
1930年（昭和5年）11月18日：『創価教育学体系』第1巻が発刊され、発行所として「創価教育学会」の名が記されました。発行は戸田の自宅から行われ、戸田は「城外」という名義を用いていました。この書籍の発刊を機に、当時の著名人らが「創価教育学支援会」を組織するなど、関心を集めました。
1931年（昭和6年）：牧口は教職を辞し、教育および宗教に関連する活動に専念するようになります。
1936年（昭和11年）：日蓮正宗総本山である大石寺において、創価教育学会初の修養会が開催されました。
1937年（昭和12年）12月：東京市麻布の料亭で創価教育学会の発会式が催され、約50名が参加しました。
1939年（昭和14年）12月24日：発会式と同じ場所で第1回総会が開催され、約60名が出席しました。
1940年（昭和15年）：戸田が設立した金融業の社内に事務所を移転。同年10月には第2回総会が開催され、300名が参加する規模に拡大しました。この総会で、牧口が会長、戸田が理事長という正式な役員体制が承認され、戸田はこの頃から「城聖」の雅号を用いるようになります。
1941年（昭和16年）：機関誌『価値創造』を創刊するなど、活動は活発化しました。
1942年（昭和17年）：戦時下の統制が強まる中、機関誌『価値創造』が廃刊命令を受けます。同年11月の第5回総会には600名が参加し、会員数は4千名、支部数も増加するなど、組織は拡大を続けていました。
1943年（昭和18年）：最後の総会が開催された直後、神社神道を批判したことにより、別の機関誌が廃刊に追い込まれます。同年6月、大石寺で宗門から伊勢神宮の神札を受けるよう指示されますが、これを拒否しました。
1943年（昭和18年）7月6日：神札の受け取りと祭祀を拒否し、焼却したことが問題視され、治安維持法違反および不敬罪の容疑で、牧口、戸田を含む幹部21名が特別高等警察に逮捕されました。
1944年（昭和19年）11月18日：牧口常三郎は、勾留されていた東京拘置所内の病監で、栄養失調と老衰のため死去しました。
1944年（昭和19年）11月24日：東京への空襲により、創価教育学会と戸田の会社の事務所が入居していたビルが焼失しました。
1945年（昭和20年）7月3日：戸田城聖が豊多摩刑務所から出獄します。
1945年（昭和20年）9月：戸田によって新たなビルが取得され、創価教育学会の本部が再建されました。

創価学会への改称と戦後の教育事業

戦後、組織は新たな歩みを始めます。

1946年（昭和21年）3月：創価教育学会は「創価学会」へと名称を変更しました。これにより、組織の性格は教育団体から宗教団体へと移行していきます。

創価学会となった後も、教育に対する理念は受け継がれ、多くの教育機関が設立されています。

学校法人創価学園：1968年（昭和43年）に設立され、中学校・高等学校、小学校、幼稚園などを設置・運営しています。
学校法人創価大学：1971年（昭和46年）に開学しました。

創価教育学会は、牧口常三郎の教育思想を源流とし、戦時中の苦難を乗り越え、現在の創価学会へと繋がる歴史的な団体として位置づけられています。

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