劉尼

劉尼（りゅう じ）

劉尼（生年不詳 - 474年）は、中国北魏時代の政治家です。独孤氏を本姓とし、字を俟尼須と名乗りました。代郡を本貫とします。

生涯

冠軍将軍であった劉婁の子として生まれました。彼は生まれつき膂力に優れ、弓の腕前もかなりのものでした。その才能は太武帝にも認められ、羽林中郎に任じられ、昌国子の爵位を与えられました。その後、振威将軍の位も加えられています。

452年、宗愛が南安王拓跋余を東廟で暗殺するという事件が起きました。宗愛はその事実を隠蔽しましたが、劉尼だけが真相を知っていました。劉尼は宗愛に対し、拓跋濬（後の文成帝）を擁立することを勧めましたが、宗愛は他の王子の中から後継者を選ぼうとしました。そこで劉尼は、事態を打開するため殿中尚書の源賀にこの事を打ち明け、さらに南部尚書の陸麗を味方に引き入れ、拓跋濬擁立の相談をしました。源賀と尚書の長孫渇侯が兵を率いて宮殿を警護する中、劉尼と陸麗は拓跋濬を苑中に迎え入れました。陸麗が拓跋濬を馬上に抱え上げ宮中に入ると、劉尼は東廟へ急ぎ戻り、「宗愛が南安王を殺害したのは、大逆不道である。皇孫が既に大位に就かれ、詔が下った。宿衛の士は速やかに宮中に戻るように」と大声で叫びました。これを聞いた人々は万歳と叫び、源賀と長孫渇侯は宗愛と賈周らを捕らえ、永安殿へと入りました。この功績により、劉尼は内行長に任じられ、爵位は建昌侯へと進みました。その後、散騎常侍・安南将軍に転じました。

更なる功績が認められ、爵位は東安公に進み、間もなく尚書右僕射に転じ、侍中の位を加えられ、東安王に進みました。その後、征南将軍・定州刺史として地方へ赴任しましたが、定州では酒に溺れる日々が多く、政務を執ることは少なかったようです。その後、殿中尚書として都に召還され、侍中・特進を加えられました。文成帝の末年には、司徒に転じています。

470年、献文帝が北征のために自ら閲兵を行いましたが、劉尼はひどく酔っており、兵の列が整いませんでした。献文帝は劉尼の過去の功績を考慮し、罪を許し、免官のみに留めました。474年に死去しました。

子の劉社生が爵位を継ぎ、宣武帝の時代には寧朔将軍・歩兵校尉となりました。

伝記資料

『魏書』巻三十 列伝第十八
『北史』巻二十八 列伝第十六

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