源賀

源賀（げん が）

源賀（407年 - 479年）は、五胡十六国時代の南涼から北魏にかけて活躍した軍人・政治家です。元の姓は禿髪（とくはつ）、名は破羌（はきょう）といいました。南涼の景王である禿髪傉檀（とくはつ じょくだん）の子として生まれ、西平郡楽都県を本貫としました。

生涯

414年、西秦によって南涼が滅ぼされると、破羌は北涼の沮渠蒙遜（そきょ もうそん）のもとに身を寄せました。その後、北魏に亡命し、太武帝によって西平侯に封じられ、龍驤将軍の号を与えられました。太武帝は、禿髪氏と北魏の皇族である拓跋氏が同族であるという考えから、破羌に源氏の姓を授けました（日本の源氏の姓の由来の一つとされています）。

434年、山胡の白龍を討伐し、吐京胡との戦いでは先頭に立って勝利を収め、平西将軍に任じられました。439年、太武帝が北涼に侵攻した際には、道案内を務め、北涼に味方する四部鮮卑の帰順を促し、3万戸あまりを帰順させました。北魏軍が姑臧を包囲すると、その包囲に参加して戦い、北涼平定後には征西将軍、西平公に進みました。その後も柔然遠征、五城の吐京胡討伐、蓋呉の討伐などで功績を挙げ、散騎常侍に任じられました。

450年、太武帝の南征に従軍し、前鋒大将として長江北岸まで進軍しました。太武帝から賀の名を与えられ、殿中尚書に任じられました。452年、太武帝が宗愛によって殺害されると、擁立された南安王拓跋余もまた宗愛に殺害されました。源賀は禁兵を率いて宗愛を討ち、宮中を制圧し、陸麗や劉尼らと共に文成帝を迎え入れ即位させました。この功績により、征北将軍、給事中に任じられ、453年には西平王に進みました。

源賀は刑罰の濫用を諫める上書を行い、文成帝に聞き入れられました。征南将軍・冀州刺史として赴任すると、民衆の徭役負担を軽減し、裁判では情状酌量に努めました。武邑郡の石華という者が、沙門の道可と源賀が反乱を企てていると訴えましたが、文成帝は源賀の忠誠を信じて疑わず、石華の誣告が判明すると喜びました。当時の北魏朝廷において、源賀は「治為第一」と評されました。466年3月、太尉に任じられました。

470年、柔然の予成が北魏に侵攻すると、献文帝が北征の軍を起こし、源賀は諸軍を率いて後詰めを務めました。471年、献文帝が京兆王拓跋子推に帝位を譲ろうとした際には、漠南から駆け戻り、譲位に反対しました。献文帝は源賀に節を持たせ、孝文帝に皇帝の璽綬を授けました。

同年、河西の勅勒が反乱を起こすと、軍を率いてこれを討伐し、2000戸あまりを降伏させました。反乱軍の郁朱于らを枹罕まで追撃し、5000人あまりを斬首し、男女1万あまりを捕らえました。また、統万・高平・上邽の3鎮の勅勒を金城まで追撃し、3000人あまりを斬首しました。源賀は古今の兵法や先儒の旧説に基づき、「十二陳図」を作成し、太上皇帝（献文帝）に献上しました。

晩年は引退を願い出ましたが許されず、都督三道諸軍として漠南に駐屯しました。代郡の軍役に頼ることを憂慮し、諸州から壮健な者3万人を徴募して屯田兵とする政策を立案しましたが、実現には至りませんでした。474年、病を理由に再び引退を願い出て、ようやく許されました。北魏朝廷は源賀のために衣服と医薬を支給しました。477年には温湯で療養し、孝文帝や文明太后が使者を派遣してその容態を気遣い、太医に診察させました。病状が悪化すると平城に帰還し、479年9月に73歳で亡くなりました。侍中・太尉の位を追贈され、諡は宣とされました。遺体は金陵に陪葬されました。

子女

源延（長男、侍御中散、武城子、西冶都将）
源懐
源奐（字は思周、長楽郡太守）

伝記資料

『魏書』巻41 列伝第29
* 『北史』巻28 列伝第16

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