劉盛

劉盛（りゅう せい）

劉盛は、五胡十六国時代の漢（後の前趙）の皇族であり、劉淵の弟として知られています。彼の生涯は、動乱の時代における一族の興亡と、その中で示された忠義と悲劇に彩られています。

生涯

若い頃の劉盛は、読書を好む性格ではありませんでしたが、『孝経』と『論語』の二つの古典には深く通じていました。「この二つを理解すれば十分だ」と豪語し、実践を伴わない知識の濫用を戒めるほどでした。その姿勢は、李憙という人物に「理解するだけでなく、自らを律することができるのは素晴らしい」と賞賛され、君子と評されました。

304年、兄である劉淵が漢王朝を樹立すると、劉盛は兄を支え、その事業に貢献しました。彼は忠義に厚い人物として劉淵から深く信任され、安昌王に封じられました。

310年7月、劉淵が重病に倒れると、劉盛は弟の安邑王劉欽、西陽王劉璿と共に領武衛将軍に任じられ、宮中の近衛兵を統率する重責を担いました。これは、劉淵が彼らに寄せる信頼の厚さを示すものでした。

劉淵の死後、長男の劉和が後を継ぎましたが、劉和は呼延攸、劉乗、劉鋭らと結託し、楚王劉聡をはじめとする弟たちを排除しようと画策しました。劉淵の崩御からわずか2日後、劉盛は劉和に呼び出され、その謀略への参加を命じられます。

しかし、劉盛は劉和に対し、次のように諫言しました。「先帝の棺がまだ埋葬されておらず、四王に反逆の意思がないにもかかわらず、兄弟同士で殺し合うようなことをすれば、天下の人々は陛下をどのように見るでしょうか。まだ大業は成し遂げられていないのに、小人の讒言を真に受け、兄弟で争うようなことはおやめください。一族の弟たちを信じずして、他に誰を信じることができるのでしょうか」。

劉盛の言葉は、劉和の心を動かすことはありませんでした。劉鋭と呼延攸は怒り、「今日の議論に道理などない。陛下の命令通りに軍を率いればよいのだ」と言い放ち、劉盛は彼らの側近によって斬殺されてしまいました。劉盛の死は、後趙の内紛の激しさと、その中で散った忠臣の悲劇を象徴する出来事となりました。

劉盛の生涯は、短いながらも、忠義を重んじ、兄弟間の争いを避けようとした彼の高潔な人柄を伝えています。彼の最期は、後世に語り継がれるべき教訓として、歴史に刻まれています。

参考文献

『晋書』巻101・載記第1
『資治通鑑』巻87
* 『十六国春秋』巻8

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