劉和

劉和（りゅう か）

劉和は、五胡十六国時代の前趙の第2代皇帝であり、初代皇帝である劉淵の長男です。字は玄泰。新興郡（現在の山西省忻州市）の出身で、母は匈奴の名門出身の呼延皇后。後世の史家からは廃帝和、または帝和とも呼ばれています。

生涯

308年11月、父の劉淵（当時は漢皇帝）より大将軍に任じられ、同年12月には大司馬、梁王に封じられました。310年1月に皇太子に立てられ、同年7月に劉淵が崩御すると、皇帝の位を継承します。

しかし、劉和の治世はわずか6日間で終わります。その原因は、劉和自身の猜疑心の強さと、それを煽る奸臣の存在でした。

劉和の母方の叔父である宗正呼延攸は、特に才能や徳があったわけではありませんでしたが、劉和に取り入ろうとします。また、皇族の西昌王劉鋭も、劉淵の臨終の際に何も託されなかったことに不満を抱いていました。彼らは侍中劉乗と結託し、楚王劉聡との対立を利用して政変を企てます。

彼らは劉和に進言し、「先帝の遺詔は権力の配分が不公平です。三王（北海王劉乂、魯王劉隆、斉王劉裕）は近衛兵を率い、大司馬である楚王（劉聡）も10万の兵を掌握しています。陛下は名ばかりの皇帝で、実権は彼らに握られています。兄弟を誅殺し、権力を掌握すべきです」と唆しました。劉和は呼延攸の言葉を疑わず、この進言を受け入れてしまいます。

即位から2日後の夜、劉和は安昌王劉盛、安邑王劉欽、馬景らを召し、計画への参加を求めます。しかし、劉盛は「先帝の棺がまだ埋葬されておらず、四王に反逆の意思もないのに、兄弟同士で殺し合うのは天下の笑いものです。一族を信じずに誰を信じるのですか」と諫めました。これに対し、劉鋭と呼延攸は怒り、劉盛を斬り殺してしまいます。馬景と劉欽は恐れをなし、劉和に従うことを誓いました。劉和は彼らと盟約を交わし、四王討伐の準備を進めます。

翌日、劉和は計画を実行に移します。劉鋭には馬景を従わせて劉聡を、呼延攸には劉安国を従わせて劉裕を攻めさせました。しかし、田密と劉璿は劉乂に寝返り、計画を劉聡に密告します。劉聡は備えを固め、劉鋭の攻撃を待ち構えます。劉鋭は劉聡の陣の備えを見て、軍を返し、呼延攸らと合流して劉隆と劉裕を攻めます。呼延攸らは田密らの離反を聞き、劉安国と劉欽も裏切るのではないかと恐れ、彼らを殺害。さらに、劉裕と劉隆を殺害しました。

しかし、その翌日、劉聡は攻勢に転じ、西明門を陥落させます。驚いた劉鋭らは南宮へ逃げ込みますが、劉聡軍に追撃されます。劉和は光極西室で劉聡軍に捕らえられ、妻子と共に処刑されました。劉乗、劉鋭、呼延攸らも捕らえられ、市街で晒し首となりました。劉和の在位期間は、わずか6日間という短さでした。

人物

劉和は身長が8尺もあり、雄々しく剛毅で、美しい容貌をしていました。若い頃から学問に励み、『毛詩』、『春秋左氏伝』、『鄭氏易』を熟読しましたが、皇太子になってからは猜疑心が強くなり、部下への恩賞を惜しむようになったと伝えられています。

参考文献

『晋書』巻101 載記第1
『資治通鑑』紀事本末 巻13

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