劉粲

劉粲（りゅう さん）：暴政と滅亡を招いた前趙の皇帝

劉粲（りゅう さん）は、五胡十六国時代の前趙の第4代皇帝です。昭武帝劉聡の次男として生まれ、幼い頃から文武両道に秀でていたと伝えられています。しかし、帝位に就くと政治を顧みず、臣下の靳準（きん しゅん）の台頭を許し、その専横と暴政によって劉氏は滅亡へと向かいました。

生涯

若き日の活躍

劉粲は、父の劉聡が帝位に就くと河内王に封じられ、重要な軍事任務を任されました。西晋攻略戦では、王弥や劉曜らと共に洛陽を目指し、多くの砦を陥落させるなど、武将としての才能を発揮しました。司馬模殺害を劉聡に諌められる場面もありましたが、その弁舌によって父を納得させました。

後継者争いと劉乂謀殺

皇太弟であった叔父の劉乂（りゅうがい）を陥れるため、郭猗の讒言を容れ、靳準と共謀して劉乂を陥れました。最終的に劉乂は殺害され、劉粲は皇太子となり、後継者の地位を確固たるものとしました。

皇帝即位と暴政

318年、劉聡の崩御を受けて皇帝に即位。しかし、即位後は政治を顧みず、皇太后らを後宮に入れ、酒色に溺れる日々を送りました。喪に服すこともなく、外戚の靳準が権力を掌握し、専横を極めました。諫言する臣下を処刑するなど、暴政を重ね、人望を失っていきました。

靳準の乱と最期

靳準は、劉粲に取り入り、朝廷を壟断しました。そしてついに、劉粲を欺き、劉氏一族を皆殺しにするというクーデターを起こしました。劉粲自身も処刑され、その短い治世は終わりを告げました。

人物像

宰相となってからは、権勢をほしいままにし、忠臣を遠ざけ、佞臣を重用しました。感情のままに厳しく振る舞い、諫言を受け入れず、宮室を飾り立てるなど、贅沢な生活を好みました。皇帝となってもその態度は変わらず、酒色に溺れ、暴政を重ねたため、人望を失い、滅亡を招きました。

劉粲は、その治世において、前趙を滅亡へと導いた暗愚な君主として歴史に名を残しました。彼の生涯は、権力を持つ者が驕り高ぶると、いかに国を滅ぼすかを示す教訓として、後世に語り継がれています。

宗室

后妃
皇后靳氏（劉聡の皇后靳月光および靳月華の妹）
男子
太子 劉元公

脚注

参考文献
『晋書』載記第2 劉聡載記
* 『資治通鑑』巻087 - 巻090

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