靳準

靳準（きん じゅん）

靳準は、中国五胡十六国時代の漢（後の前趙）の政治家です。匈奴屠各種の系統の有力者であり、漢の外戚として権勢を握りました。しかし、後に劉粲を始めとする漢の皇族を虐殺し、漢天王を自称するに至りました。

生涯

若い頃の事績は明らかになっていませんが、漢王朝に仕え、劉聡の時代には中護軍の地位にありました。彼の娘たちが劉聡の寵愛を受け、後宮に入ったことで、靳準は劉氏の外戚として権勢を振るうようになります。

315年、娘の靳月光と靳月華が劉聡の後宮に入り、それぞれ皇后の地位に就きます。これにより靳準は、皇帝の外戚として政治の中枢に関わるようになりました。しかし、靳月光が淫行を為したとして弾劾され、皇后を廃位された後、自殺するという事件が起こります。靳準はこれを深く恨み、陳元達を憎むようになります。

当時、劉聡は政治を顧みず、宦官たちが朝政を仕切っていました。靳準は彼らに媚び諂い、自らの地位を保とうとしました。また、皇太弟の劉乂を陥れようと画策し、劉粲に取り入って劉乂を失脚させることに成功します。その後、靳準は刺客を放ち、劉乂を殺害しました。

318年、劉聡が崩御すると、劉粲が即位します。しかし、劉粲は政治を顧みず、酒色に溺れる日々を送りました。これを見た靳準は、密かに謀反を企むようになります。靳準は劉粲に讒言し、有力な諸侯王を処刑させ、政敵を排除しました。そして、自らが大将軍・録尚書事となり、政治の実権を掌握します。

靳準の乱

靳準は、ついに劉粲を殺害し、自ら漢天王を名乗ります。劉氏一族を皆殺しにし、劉淵と劉聡の墓を暴き、その屍を斬りつけました。しかし、彼の暴挙は旧臣たちの反発を招き、相国の劉曜や大将軍の石勒が靳準討伐のために兵を挙げます。靳準は石勒を攻撃しましたが、防戦に徹した石勒に阻まれました。

劉曜は皇帝に即位し、靳準一門を大赦の対象から外しました。石勒は平陽を攻撃し、多くの民が石勒に帰順しました。靳準は石勒に和睦を請いますが、拒否されます。

318年12月、靳準は部下である喬泰、王騰、靳康らに殺害され、靳明が新たな主君として擁立されました。靳明らは劉曜に降伏し、伝国璽を返上しましたが、劉曜は靳氏一族を許さず、皆殺しにしました。靳準の乱をきっかけとして、漢は劉曜の前趙と石勒の後趙に分裂することとなりました。

靳準の乱は、五胡十六国時代の混乱を象徴する出来事の一つであり、その後の歴史に大きな影響を与えました。

参考文献

『晋書』巻102 載記第2、巻103 載記第3、巻104 載記第4
『資治通鑑』巻89 - 巻90

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