劉顕 (後趙)

劉顕（りゅう けん）

劉顕は、五胡十六国時代の後趙に仕えた人物で、後趙滅亡のきっかけを作ったとされる人物です。

生涯

後趙において、石祗の配下の将軍として仕えていました。

351年3月、石祗の命を受け、7万の兵を率いて魏を称していた冉閔を討伐するために出兵し、鄴から23里の距離にある明光宮に駐屯しました。しかし、冉閔は全軍をもってこれを迎え撃ち、劉顕は大敗を喫して軍を退却させることになります。さらに、冉閔は陽平まで追撃を続け、劉顕は3万もの兵を失うという大損害を受けました。

冉閔を恐れた劉顕は、密かに降伏の使者を送り、石祗を殺害する代わりに助命を申し出ました。冉閔はこれに応じ、追撃を中止して軍を引き上げました。

帰還後の4月、劉顕は石祗を始め、丞相の楽安王石炳、太宰の趙庶ら10人余りを殺害し、襄国を制圧。そして、その首級を鄴へ送りました。同時に人質を差し出して命乞いをしたため、冉閔は喜び、劉顕を上大将軍・大単于・冀州牧に任じました。

しかし、351年7月になると、劉顕は自立を目論んで冉閔から離反し、再び兵を率いて鄴を攻撃しました。しかし、またも冉閔に敗北し、襄国へ逃げ戻りました。その後、劉顕は自立を宣言し、皇帝を自称するに至りました。

352年1月、魏の支配下にあった常山に侵攻しました。常山郡太守の蘇彦が冉閔に援軍を要請すると、冉閔は自ら8千の騎兵を率いて救援に駆けつけました。劉顕配下の大司馬清河王劉寧は寝返って棗強ごと冉閔に降伏。冉閔はその兵を統合して劉顕に攻撃を仕掛け、劉顕は大敗を喫しました。劉顕は軍を退却させましたが、冉閔は襄国まで追撃の手を緩めませんでした。さらに、襄国を守備していた大将軍曹伏駒もまた冉閔に寝返り、城門を開いて冉閔軍を引き入れたため、冉閔は何の抵抗も受けずに襄国に入城し、劉顕は公卿以下100人余りと共に処刑されました。

劉顕の行動は、後趙の勢力を大きく削ぎ、最終的な滅亡の一因となりました。

参考文献

『晋書』巻107
『資治通鑑』巻099

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