加倉正義

加倉正義：波乱の競輪人生

加倉正義は、1971年5月22日生まれ、福岡県大牟田市出身の競輪選手です。日本競輪選手会福岡支部に所属し、競輪学校第68期生として、山口富生、小川圭二、阿部康雄らと同期です。師匠は下坂茂で、ホームバンクは久留米競輪場です。また、兄の加倉高廣も元競輪選手という競輪一家で育ちました。

デビューからGI初制覇まで

久留米工業大学付属高等学校を卒業後、競輪学校では在校競走成績4位の成績を収めました。1991年8月7日、ホームバンクの久留米競輪場でデビューし2着、その1週間後にはいわき平競輪場で初勝利を飾りました。1995年には日本選手権競輪で初のGI決勝進出を果たし5着入賞。その後、毎年小倉競輪場で開催される競輪祭には1995年から4年連続で決勝に進出し、1998年にはメディアドーム移転元年の開催で念願の初優勝を飾りました。

物議を醸した競輪祭優勝

1998年の競輪祭決勝では、加倉は吉岡稔真の番手を務めました。吉岡は4年ぶりの同大会制覇を目指し、最終ホームから先頭に立ち、宿敵である神山雄一郎の捲りを牽制しました。しかし、その牽制の影響で、神山マークの東出剛が落車するというアクシデントが発生。加倉は直線で吉岡をわずかに交わしましたが、吉岡の差し返しにあい2着でゴールしました。ところが、吉岡の牽制プレーが原因で東出が落車したとして失格となり、加倉が繰り上がりで優勝となりました。

この優勝に対し、ファンからは批判の声が上がりました。それは、神山の牽制は本来マークの加倉が行うべきであり、なぜ吉岡が牽制したのか、という疑問でした。また、吉岡が人気の中心であったことや、車券を外したファンの不満が重なり、加倉の優勝はフロックであるという声まで上がりました。しかし、この時の吉岡は、地元バンクでの優勝と、何よりも神山の4連覇を阻止することに執念を燃やしており、加倉に任せるのではなく、自らの手で神山をねじ伏せたいという強い気持ちがあったとも考えられます。

その後

競輪祭優勝で同年のKEIRINグランプリに出場を果たしますが、8着に終わりました。その後、2008年の競輪祭までGIの決勝進出はありませんでした。競輪祭優勝後、スランプに陥った時期もありましたが、GIIIではしばしば優勝を飾り、混戦時の捌きには定評があります。しかし、GI優勝は競輪祭の一度きりで、吉岡に助けられた優勝という印象は拭えません。

その後も長くS級で活躍しましたが、2018年下期にA級1班に降格。しかし、2019年上期には再びS級2班に返り咲きました。2019年4月10日には、小倉競輪で通算500勝を達成。これはS級が新設された1983年4月以降では31人目の記録でした。さらに、2020年10月12日には、通算取得賞金額が10億円を突破しました。これは通算35人目、現役選手では21人目の快挙でした。

主な獲得タイトル

* 1998年 - 競輪祭（小倉競輪場）

加倉正義は、その波乱に満ちた競輪人生において、数々の記録を打ち立ててきました。その走りは、多くの競輪ファンを魅了し続けています。

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