加納町 (神戸市)

加納町：神戸の心臓部を流れる歴史の川

神戸市中央区に位置する加納町は、その歴史と地理的特性から、神戸市の発展に大きく貢献してきた地域です。古くからの町名でありながら、現代的な都市機能も備えています。

地理：山と海を繋ぐ南北の動脈

加納町の最大の特徴は、その南北方向への細長い形状です。新神戸駅周辺の山際から旧海岸線までを包含しており、その範囲は一見途切れているように見えるかもしれません。これは、五丁目がフラワーロード上にのみ存在し、その下に地下街「さんちか」が広がっているためです。ただし、「さんちか」の住所は、管理会社である神戸地下街株式会社の所在地である三宮町に統一されています。

加納町は、北東端で葺合町とわずかに接し、東側は北から熊内町、生田町、布引町、雲井通、小野柄通、御幸通、磯上通、八幡通、磯辺通と隣接しています。南側は新港町、西側は南から海岸通、東町、江戸町、三宮町、北長狭通、中山手通、山本通、北野町と接し、北側は神戸港に面しています。このように、加納町は神戸市の中心部に位置し、多くの町々と隣接しています。町内には、一丁目から六丁目までが順に並んでいます。

歴史：生田川改修と加納宗七の功績

加納町の歴史は、生田川の改修工事に深く関わっています。明治初期、外国人居留地の氾濫被害を防ぐため、生田川の河道が付け替えられました。その際に生まれた旧河川敷の埋立地が、現在の加納町です。

この埋立事業は、和歌山町の有本明と神戸上組の加納宗七によって行われました。入札の結果、両者は共同で市街地再開発を行い、中央に幅18m、長さ1600mの道路を整備。明治6年（1873年）に完成したこの街区の西側に、加納宗七の名にちなんで「加納町」と命名されました。

加納宗七は、生田川下流の開拓にも尽力し、港湾施設の建設にも携わりました。この港湾は「加納湾」と呼ばれていましたが、神戸港の大規模な改修工事によって消滅しました。加納町の地名に残る加納宗七の功績は、神戸港の発展にも貢献したと言えるでしょう。

明治時代には、加納町にはアメリカ領事館が置かれ、東遊地と呼ばれる遊園地も存在しました。その後、遊園地は「内外人遊園」と改称され、明治32年には市の管理下に置かれました。 また、阪神電気鉄道や神戸市電の開通、三宮駅などの交通機関の整備も、加納町の発展を促しました。

昭和時代には、神戸市立中央市民病院が移転し、山陽新幹線新神戸駅が開業するなど、加納町はますます重要な拠点となりました。1980年の町名変更では、一部が北野町、三宮町、新港町に編入され、現在の町域が形成されました。

交通の要衝：数多くの交通機関が交差

加納町は、新神戸駅、三宮駅といった主要駅に近接し、山陽新幹線、JR、阪急電鉄、神戸市営地下鉄など、多くの公共交通機関が利用可能です。さらに、フラワーロードや地下街「さんちか」といった歩行者空間も充実しており、交通アクセスが非常に良好です。この立地の良さが、加納町の商業や経済活動を活発にしています。

近年の状況：街の進化と課題

近年では、加納町三丁目と四丁目が暴力団排除特別強化地域に指定されるなど、街の安全対策も進められています。一方で、高齢化や人口減少といった課題も抱えています。歴史と現代が混在する加納町は、これからもその変化を続けながら、神戸市の発展を支えていくでしょう。

人口推移

加納町の人口は時代とともに変化してきました。

明治25年(1892年): 戸数678、人口2,630人
大正9年(1920年): 世帯数1,251、人口5,602人
昭和35年(1960年): 世帯数1,036、人口3,909人
昭和63年(1988年): 世帯数641、人口1,437人
* 平成17年(2005年): 世帯数1,203、人口1,760人


この人口変遷は、時代の変遷や社会情勢を反映していると言えます。

まとめ：歴史と現代が織りなす魅力

加納町は、生田川改修という歴史的出来事から生まれた町であり、加納宗七をはじめとする先人たちの努力によって発展してきました。現在も、交通の要衝として、そして神戸市の中心地域として、その役割を果たしています。歴史と現代が調和した、魅力的な街と言えるでしょう。

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