加藤三郎 (新左翼)

加藤三郎（かとう さぶろう）は、1948年7月25日に岐阜県で生まれた日本の元新左翼活動家です。彼は、東アジア反日武装戦線などの影響を受け、1970年代に過激な闘争を実行しました。その後、インドの神秘家であるOsho（バグワン・シュリ・ラジニーシ）に弟子入りし、「スワミ・プレム・デバム」という瞑想名を得て、思想的な転換を遂げました。

生い立ちと初期の活動

加藤は岐阜県立加茂高校在学中、小田実のベ平連参加の呼びかけに触発され、「名古屋ベ平連」に参加しました。高校卒業後は、アルバイトをしながら多くの在日韓国・朝鮮人と出会い、日本の民族問題に関心を深めます。1969年からは、美濃加茂市を拠点に「みのかもベ平連」を組織し、ヴィルヘルム・ライヒの影響を受けコミューン志向を強めました。

反日思想との出会い

1970年頃、加藤は朴慶植の『朝鮮人強制連行の記録』や太田龍の著書を通して、「日本帝国主義の悪行」を知り、反日主義的な思想を形成していきます。この思想が、後の過激な行動につながっていくことになります。

過激な活動の開始

加藤は反日思想に基づき、坂上田村麻呂の墓や明治天皇に関連する施設にペンキで落書きを行うようになりました。彼は坂上田村麻呂を「桓武期の蝦夷侵略軍の総大将」、明治天皇を「アイヌモシリを侵略した天皇」と捉え、これらの行為を正当化しました。

連続爆破事件と反日思想からの離脱

1977年、加藤は神社本庁、三井アルミ社長宅、平安神宮、梨木神社、東本願寺、東急観光、東大法文1号館など、複数の場所で爆破事件を起こしました。これらの事件は、彼の反日思想が過激化した結果でした。しかし、1978年1月1日、明治神宮で糞尿爆弾を製造中に事故を起こし、爆発によってアパートが糞尿まみれになり、警察の指名手配を受けることになります。この事件をきっかけに、彼は爆弾闘争を止め、潜伏生活を送ることになります。

潜伏中、加藤は以前愛読していたライヒの著書を再読する中で、「反日思想」からの離脱を自覚するに至ります。そして、書店で偶然目にした『生命の歓喜-バグワン・シュリ・ラジニーシとの対話 ダルシャン日誌』をきっかけに、ラジニーシの思想に深く感銘を受け、弟子になることを決意し、「スワミ・プレム・デバム」という瞑想名を得ることになりました。

逮捕と裁判、そしてその後

1983年5月、加藤は逮捕されます。逮捕時にはラジニーシのペンダントを身に着け、合掌する姿は、まるで修行僧のようでした。彼は現住建造物等放火罪などの罪で起訴されました。加藤側は平安神宮の放火箇所が「非現住建造物」であると主張し、現住建造物等放火罪の適用は不当であると訴えましたが、裁判所はこれを認めず、懲役18年の実刑判決が確定しました。

1988年には、論考とエッセイで「思想の科学賞」を受賞し、1992年には著書『意見書』を出版しました。また、1992年には東本願寺において、加藤の問題提起に応える形で「アイヌと共に民族差別を考える宗教者の会」が発足するなど、社会的な議論を呼び起こしました。

参考文献

加藤三郎『意見書 「大地の豚」からあなたへ』思想の科学社、1992年

関連項目

ノンセクト・ラジカル
アイヌ革命論
日本原住民論

外部リンク

行く道、帰り道、悲しみの道から、感謝を生きる共生の道へ - 本人のブログ
加藤三郎 (@saburounonohana) - X（旧Twitter）

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