反日主義

反日主義とは

反日主義とは、日本と日本人に対する敵対的な感情、思想、行動の総称です。これは単なる嫌悪感にとどまらず、政治的、社会的な運動やイデオロギーとして現れることもあります。

中国における反日主義

歴史的背景

中国における反日感情は、歴史的に根深いものがあります。岡本隆司氏は、中国が歴史的に一貫して反日的であったと指摘しており、その起源を「倭寇」を日本と決めつけて敵視した思考様式に求めています。また、『史記』以来の中国の史学はイデオロギーの表明であり、客観的な事実に基づいた近代歴史学が欠如していることが、歴史認識問題の本質であると述べています。

拳骨拓史氏は、中国が反日教育に着手したのは1928年5月の国民党による排日教育方針の決議が始まりであると指摘しています。その背景には、中華思想、日本への嫉妬心、多面的な視点の欠如などが挙げられています。

近代の反日運動

日清戦争中には、日本を「倭」、明治天皇を「倭酋」と呼ぶ人種差別的なプロパガンダが展開され、日本企業や商店が襲撃される事件が相次ぎました。1908年の辰丸事件をきっかけにした日本製品不買運動や、1928年の済南事件を機に各地で結成された反日会による、反日的な規則に違反した者への罰金や監禁などの行為も行われました。

1930年代には徹底した反日教育が実施され、日本人への暴行や虐殺事件が多発しました。また、「漢奸狩り」として、日本に協力的と見なされた中国人が多数虐殺されました。

現代の反日感情

現代の中国では、日本を蔑視する言葉として「小日本」や「日本鬼子」などが用いられます。憤青と呼ばれる若者たちが過激な主張や行動をすることがあり、尖閣諸島問題では「保釣運動」が展開されています。また、沖縄を中国の領土だと主張する動きもあります。慰安婦問題、靖国神社問題、歴史教科書問題なども、中国における反日感情の火種となっています。

王雪萍氏によると、中国の歴史教科書は、1990年代以降、戦争責任を日本全体に帰するようになり、反日デモの矛先が一般国民にも向けられるようになったと分析しています。

反日映画やドラマが多数制作され、サッカーの試合でも反日行為が見られます。2005年の反日活動、2010年の尖閣諸島抗議デモ、2012年の反日活動など、近年の動きも活発です。

韓国における反日主義

特徴

韓国における反日主義は、そのアイデンティティと不可分な関係にあると鄭大均氏は指摘しています。韓国の反日主義は、「事実と関係のない偏見で日本を捉える集団的文化現象」であり、民主化勢力が反日を政治手段として利用したことが影響しています。また、朝日新聞globeは、韓国の反日的主張のルーツが日本の左派や朝鮮総連系学者にあると指摘しています。

崔碩栄氏は、韓国の反日感情は自然発生的なものではなく、「反日システム」という社会構造によって形成されたと主張しています。黒田勝弘氏は、韓国メディアが日本を非難する際に、誤報や誇張が横行していると批判しています。

西村幸祐氏は、韓国の反日感情は小中華思想に基づいた原理主義であり、理性や論理を超越した仮想現実の構築に努めていると述べています。鈴置氏は、韓国が米中の間で生き残るために、日本を中国と対立させようとしていると指摘しています。

歴史と現状

歴史的には、朝鮮半島から日本への侵略が何度も行われてきました。朝鮮通信使も、日本を野蛮視したり、日本侵略の願望を記録しています。近代に入ると、衛正斥邪思想が広まり、西洋や日本との交流に反対する動きがありました。日本と協力して朝鮮の近代化を進めた金玉均は、暗殺され遺体を晒されるという悲劇的な最期を遂げました。

1952年には、李承晩ラインが一方的に設定され、多くの日本漁船が拿捕、銃撃されました。竹島を占拠し、独島警備隊を常駐させており、韓国では独島に対する執着が強く、関連グッズも多数作られています。

Voluntary Agency Network of Korea（VANK）は、「ディスカウントジャパン運動」を展開し、インターネットを通して反日宣伝を世界中で行っています。在米韓国人団体も、慰安婦問題などで反日ロビー活動を活発に行っています。

2013年には、日本統治時代を肯定的に評価した老人が、暴行を受け殺害される事件も発生しました。韓国では稀に反日主義を批判する人物が現れますが、「親日派」として攻撃され、社会的な立場を失うことがあります。親日派を糾弾する動きも存在します。

北朝鮮における反日主義

北朝鮮は、日本人拉致などの対日有害活動を行っています。在日本朝鮮人総聯合会（朝鮮総連）は学習資料で「日本は敵」と記述しています。2003年には、国連総会で北朝鮮代表が日本を蔑称で呼ぶ事件がありました。2017年には、北朝鮮が「日本人を叩きのめさなければならない」と声明を発表しました。

日本における反日主義への批判

韓国や中国の主張に賛同する日本人を反日と批判する考え方があります。自虐史観に立つ人々が、日本の悪を誇張、捏造し、反日感情を煽っているという主張もあります。

東アジア反日武装戦線は、日本人を「日帝本国人」として断罪し、連続企業爆破事件を起こしました。また、在日韓国・朝鮮人による集団での暴行事件や、ネット社会における在日認定なども問題となっています。

参考文献

西村幸祐『「反日」の構造中国、韓国、北朝鮮を煽っているのは誰か』 PHP研究所 2004年
西村幸祐『「反日」の超克中国、韓国、北朝鮮とどう対峙するか』 PHP研究所 2006年
崔碩栄『韓国人が書いた韓国が「反日国家」である本当の理由』彩図社 2012年
鄭大均『韓国が「反日」をやめる日は来るのか』新人物往来社 2012年
拳骨拓史『「反日思想」歴史の真実』扶桑社 2013年

関連文献

反日主義を批判する出版物も多く出版されています。

名越二荒之助『反日国家・日本―国辱一掃のホームランー重大裁判の進行』山手書房 1984年
黒田勝弘『韓国・反日症候群』亜紀書房 1995年
野平俊水『韓国・反日小説の書き方』亜紀書房 1996年
谷沢永一『反日的日本人の思想―国民を誤導した12人への告発状』 PHP研究所 1999年
崔吉城『「親日」と「反日」の文化人類学』明石書店 2002年
呉善花『「反日韓国」に未来はない』小学館 2001年
金文学『「反日」という甘えを断て再び、韓国民に告ぐ!』祥伝社 2002年
黄文雄『中国「反日」の狂奔』光文社 2003年
清水美和『中国はなぜ「反日」になったか』文藝春秋 2003年
井沢元彦『「反日」日本人の正体』小学館 2003年
鳥居民『「反日」で生きのびる中国 -江沢民の戦争』草思社 2004年
山際澄夫『朝日新聞が中国を驕らせる―反日、反米の呪いと親中媚態言論の正体』日新報道 2005年
朴裕河『反日ナショナリズムを超えて韓国人の反日感情を読み解く』河出書房新社 2005年
水谷尚子『「反日」解剖歪んだ中国の「愛国」』文藝春秋 2005年
古田博司『東アジア「反日」トライアングル』文藝春秋 2005年
北岡俊明『嫌韓流ディベート反日国家・韓国に反駁する』総合法令出版 2005年
唐沢俊一、高澤秀次、宮島理、中宮崇『反日マンガの世界イデオロギーまみれの怪しい漫画にご用心!』晋遊舎 2007年
古森義久『中国「反日」の虚妄』文藝春秋 2007年
平沼赳夫監修『反日記念館―不当な写真の撤去を求める! 』展転社 2009年
一止羊大『反日組織・日教組の行状』飛鳥新社 2009年
水間政憲『「反日」包囲網の正体』 PHP研究所 2011年
日下公人編集『誰も書かなかった「反日」地方紙の正体』産経新聞出版 2011年
黄文雄『なぜ中国人・韓国人は「反日」を叫ぶのか』宝島社 2013年
黄文雄、呉善花、石平『売国奴新装版なぜ中韓は反日を国是とするのか』ビジネス社 2013年
仲新城誠『国境の島の「反日」教科書キャンペーン沖縄と八重山の無法イデオロギー』産経新聞出版 2013年
黒田勝弘『韓国反日感情の正体』角川学芸出版 2013年