勝利勲章

勝利勲章について

勝利勲章（しょうりくんしょう）は、ソビエト連邦が制定した軍人に対する最高の勲章であり、ロシア語では「Орден «Победа»」と呼ばれます。この勲章は、１個軍集団以上の軍隊を指揮し、実際の戦闘で勝利をもたらした将帥のみが授与の対象となっています。政治家には授けられず、アメリカやイギリスの指揮官にも同様の原則が適用されました。

勲章の歴史

勝利勲章は、1943年6月にソ連軍後方総本部のN・S・ネイェロフ大佐によって提案されました。当初の案では「祖国忠誠勲章」という名称が考えられていましたが、1943年11月8日に正式に制定された際には「勝利勲章」と命名されました。同年の4月10日には、ヴァシレフスキー元帥、ジューコフ元帥、そしてソ連軍最高司令官であるスターリンが最初の受賞者となりました。

この勲章は、連合国軍の司令官であるアイゼンハワーやモントゴメリーにも授与され、フランスのシャルル・ド・ゴールにも授与の計画がありましたが、実際には実施されませんでした。また、1978年にはブレジネフがこの勲章を受章しましたが、彼は政治委員であり軍人ではなかったため、1989年にはその称号は取り消されました。

勲章の特徴

勝利勲章は直径72ミリメートルで、プラチナ製の五芒星形で構成されています。勲章の周囲には174個のダイアモンドがちりばめられており、真ん中には銀製のメダリオンがあり、黄金のスパスカヤ塔とレーニン廟が図案化されています。さらに、背景は青いエナメルで空を表し、上部には「СССР」（ソ連）と刻まれ、下には赤い旗の上に「Победа」（勝利）の文字があります。デザインは詳細な情報は不明ですが、1943年10月20日にスターリンによって決定され、宝石工による製作が行われました。

勲章の管理と受章者

授与された勲章は通し番号がなく、受章者には勲記が渡されます。また、佩用者が亡くなると、勲章は国家に返納することが義務づけられています。現在、モスクワのクレムリンには「ダイヤモンド基金」が存在し、勲章の管理を行っています。2017年12月5日にミハイ1世が亡くなったことで、勝利勲章の受章者は全員故人となり、現在は何人もこの勲章を保有していない状況にあります。

勲章の略綬

略綬は44ミリメートルで、陸軍の軍服につける際に使用されます。略綬には他の勲章の色が表されています。具体的には、名誉勲章はオレンジ色に黒のストライプ、ボグダン・フメリニツキー勲章はライトブルー、アレクサンドル・ネフスキー勲章はダークレッド、クトゥーゾフ勲章はダークブルー、スヴォーロフ勲章は緑、そしてレーニン勲章は中心部分が赤色で示されています。

このように、勝利勲章はソ連および世界の軍事史において特別な位置を占める貴重な勲章です。

もう一度検索