勝南桜聡太

勝南桜聡太：大相撲史に残る最長連敗記録の力士

勝南桜聡太（しょうなんざくら そうた）は、1998年7月16日生まれ、神奈川県茅ヶ崎市出身の元大相撲力士です。身長179.5cm、体重85.8kgと、力士としては小柄な体格でした。式秀部屋所属で、本名は服部祥多（はっとり しょうた）。

彼の名は、大相撲史上類を見ない連敗記録によって広く知られるようになりました。2015年9月場所に服部桜（はっとりざくら）の四股名で初土俵を踏み、2021年1月場所より「勝南桜」に改名。104連敗という大相撲史上最長の連敗記録、そして史上2位となる89連敗の記録を残しました。また、14場所連続皆勤全敗という記録も、彼の名を不名誉な形で歴史に刻むこととなりました。

相撲への道：陸上競技から相撲へ

勝南桜は、小学校時代にテレビで見た幕下の取組をきっかけに相撲に興味を持ちました。中学校では陸上競技部に所属し、1500mの長距離走に励んでいました。高校には進学せず、独自の筋力トレーニングを研究しながら陸上競技を続け、その中で四股や摺り足が陸上競技に必要な筋肉の鍛錬に最適であることを発見。その効果を実感し、相撲への入門を決意したのです。

師匠となる式秀親方（元北桜）への入門を志願するも、当初は両親の承諾を得ていなかったため断られます。しかし、後に両親の承諾を得て入門を果たし、2015年9月場所が彼の初土俵となりました。

前相撲とデビュー

前相撲では、同期生3名全員に敗れ、5日目の取組では立合い直後に尻餅をつくという異例の行動に出ました。審判からやり直しを提案されたものの、本人は「バランスを崩した」と主張し、押し倒しで敗戦。新序出世披露では、師匠の実弟である元幕内・豊桜の化粧廻しを締めて土俵に上がりました。

連敗の始まりと初白星

本場所では、デビューから全く勝てない日々が続きました。2016年1月場所ではインフルエンザにより休場。同年5月場所では22連敗の後、通算23戦目にして初白星を挙げ、関係者一同を喜びに包みました。しかし、この勝利は束の間のものでした。

89連敗と敗退行為

2016年9月場所では、2度目の敗退行為に及ぶという事態が発生。恐怖心から立ち合いで頭から当たることを避け、自ら敗戦を招いたのです。この行為はマスコミにも取り上げられ、師匠も審判部長から事情聴取を受けました。週刊誌の報道によると、対戦相手の過去の戦績などを事前に調べていたことが、彼の恐怖心の原因の一つだったとされています。

この不祥事を受けて引退も考えたものの、師匠の叱咤激励を受け、相撲を続けることを決意しました。以降も連敗は続き、1958年以降の本割最多連敗記録を更新するなど、数々の不名誉な記録を塗り替えていきました。

100連敗超えと引退

2018年7月場所では2勝目を挙げ、89連敗をストップさせましたが、その後も連敗が続き、2019年には大相撲史上最長の104連敗を達成。2021年1月場所からは「勝南桜」に改名し、新たなスタートを切ろうとしましたが、勝利を得ることはできず、同年7月場所後に引退を表明しました。

勝南桜の記録

勝南桜の記録は、大相撲史に暗い影を落とした一方で、彼の努力や相撲への情熱を物語るものともいえます。104連敗という記録は、彼自身の苦悩と、決して諦めない強い意志の表れでしょう。引退後、師匠は彼の努力と人となりについて高い評価を与え、今後の活躍に期待を寄せました。

人物像

勝南桜は、オリックス・バファローズのファンであることや、相撲教習所の皆勤賞を受賞したことなど、彼の意外な一面も知られています。入門当初は腕立て伏せ1回もできなかった彼も、引退時には100回以上できるまでに体力を向上させていました。

勝南桜聡太の記録は、大相撲の歴史に刻まれるとともに、多くの人の心に、様々な感情を残すこととなりました。彼の相撲人生は、成功とは何か、努力とは何かを考えさせる、一つの物語として記憶に残るでしょう。

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