勝鬨丸

勝鬨丸とその歴史

概要

勝鬨丸（かちどきまる）は、日本の輸送船であり、その起源はアメリカの貨客船プレジデント・ハリソン（SS President Harrison）に遡ります。この船の歴史は、第一次世界大戦の終息とともに始まり、様々な変遷を経て日本での運用へと移行していきました。

502型貨客船の建造

第一次世界大戦末期、アメリカ合衆国船舶局（USSB）は、大型の軍隊輸送船を建造する計画を立てましたが、戦争の終結に伴い、これらの船は貨客船として建造されることとなりました。その結果、502型と535型の2種類の貨客船が生まれました。502型貨客船の基本設計はニューヨーク・シップビルディング社が手がけ、内装はベスレヘム造船、客室の調度品はスローン社により施されました。船は長船橋を有する三島型で、外観は不恰好さを感じさせるも、内装は豪華で快適なものでした。

プレジデント・ハリソンの経歴

プレジデント・ハリソンは1921年に竣工され、当初は「ヴォルヴァリン・ステート」と呼ばれましたが、後に現在の名前に改名されました。民間のパシフィック・メイル社に運航が委託され、サンフランシスコ・コルカタ線に就航しました。しかし、経済不況の影響で運航が中止となり、その後、ダラー・ラインの傘下に入ります。ダラー・ラインは当時、アメリカと極東を結ぶ航路の運営に注力しており、プレジデント・ハリソンは世界一周航路の第一船としてサンフランシスコを出港しました。

軍艦への改装と拿捕

1941年、プレジデント・ハリソンは軍隊輸送船に改装され、マニラや香港なしのドック入りを行いました。しかし、真珠湾攻撃が発生すると、同船は日本の哨戒機に発見され、座礁した後、拿捕されます。拿捕後は上海の江南造船所で修理が行われ、最終的には「勝鬨丸」と改名されました。

日本での運用

勝鬨丸は日本に回航された後、大阪鐵工所で改装され、台湾航路に就航しました。この期間中、様々なトラブルが発生し、乗組員の健康問題や衝突事故が続きました。1944年9月、勝鬨丸はヒ72船団の一員としてシンガポールを出港しましたが、その運命は厳しいものでした。

沈没とその影響

1944年9月12日、勝鬨丸は米潜水艦パンパニトの攻撃を受け、最終的に沈没しました。この事故により多くの乗員と便乗者が犠牲となり、特に連合国捕虜に大きな影響を及ぼしました。また、勝鬨丸を通じて輸送予定だった北京原人の骨も、この事件により行方不明となりました。

歴史的意義

勝鬨丸の航跡は、日本の歴史における重要な部分であり、彼女の運命は戦時下の混乱を象徴しています。彼女はアメリカから日本への一つの通過点として、また、戦争の影響を受けた輸送手段として活躍しました。それゆえ彼女の存在は、当時の国際情勢や海運の歴史を語る上で欠かせない要素です。

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