化石の荒野

化石の荒野

『化石の荒野』は1975年に西村寿行によって執筆された日本のミステリー・アクション小説である。1976年には角川書店から出版され、その後、1982年に映画化もされる。映画は4月17日に全国で上映され、ドルビーステレオ、ビスタサイズのカラー作品として123分の長さで提供された。この映画は角川春樹事務所と東映の提携によって製作されたが、宣伝費に約2億3000万円をかけた結果、不入りに終わった。実は、西村寿行原作の映画に関してはヒットしないというジンクスが存在しており、過去の作品『君よ憤怒の河を渉れ』や『犬笛』、さらに『黄金の犬』もあまり良い成績を残していなかった。

このため、映画化にあたっては東映側が随分と慎重になり、製作前には懸念の声が上がった。とはいえ、当時、角川文庫での「西村寿行フェア」での累計販売部数は1000万部を超えており、その影響で映画化の可能性が高まった。プロデューサーの角川春樹は、自信を持って「大物たちでなくても私はこの映画で成功を収めるつもりだ」と語るほど意気込んでいたが、映画の監督を務めた長谷部安春の作品が期待外れだったため、試写会での反応は惨憺たるものとなった。

特に注目すべきは、1本立てで公開された主要都市（東京、川崎、横浜、大阪、京都、神戸）と、地方での2本立て上映の違いである。角川は都市部での1本立てから得られる収入と、地方での2本立てによる相乗効果に基づいて配給収入を検討していた。しかし、キネマ旬報などではこの映画と同時公開される官能映画『窓からローマが見える』との組み合わせに疑問を呈していた。

あらすじ

物語は、警視庁捜査一課の部長刑事、仁科草介を中心に展開する。彼は深夜、自宅マンションで三人組に襲われ、外国人貿易商殺害の濡れ衣を着せられてしまう。友人の新聞記者、峰島の協力を得て彼は独自に捜査を開始する。その過程で、ある男、山沢から奇妙な依頼を受ける。

依頼内容は、大物政治家でゲームハンターでもある中臣克明の動向を調査し、報酬として5000万円を支払うというものであった。山沢が仁科を企てに巻き込む意図は、彼の無実を証明することであり、仁科はその申し出に乗ることにした。彼は手配をかいくぐりながら克明を追い続ける中で、彼自身の出生の秘密と、オホーツクで消えた5トンの金塊をめぐる陰謀に巻き込まれる。

キャスト

映画には渡瀬恒彦が仁科草介役を演じ、浅野温子や郷鍈治、さらには他にも多くのキャストが名を連ねている。特に渡瀬恒彦の迫真の演技が光っており、彼の存在感が作品をより印象的なものにしている。

映画の制作と公開

制作は角川春樹が製作責任者を務め、監督は長谷部安春が担当した。スクリプトは丸山昇一が執筆し、撮影は森勝が手がけている。音楽は萩田光雄が監督し、主題歌「化石の荒野」をしばたはつみが歌っている。

映画公開に先立ち、角川は特別な宣伝イベントも実施した。東京地区で実施された「金塊探し」のイベントでは大きな盛り上がりを見せ、参加者が予想を上回る数集まって騒動にもつながった。このように、『化石の荒野』は公開前から多くの注目を集め、その影響は映画だけにとどまらず、様々なプロモーション活動に広がった。

ビデオソフトの発売

この映画は、その後もVHS、レーザーディスク、DVD、4K Ultra HD Blu-rayといった形で様々なメディアで再発売されており、視聴する機会を増やしている。特に、2023年の4K Ultra HD Blu-rayは新しい映像技術を取り入れたものであり、当時の作品を新たな視点で楽しむことができる。

まとめ

『化石の荒野』は西村寿行の小説を基にした日本のミステリー映画として、複雑な人間関係や事件が絡み合ったストーリーが展開されており、視聴者を引き込む要素が豊富である。興行成績が芳しくなかった一方で、熱心なファンに支えられ、高い評価を受け続ける作品となっている。

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