北山文化

北山文化：室町初期の絢爛たる文化

北山文化は、室町時代の初期、具体的には14世紀末から15世紀前半にかけて栄えた文化を指します。三代将軍足利義満が京都の北山に築いた山荘がその中心であり、東山文化と対比されることが多いです。

特色

南北朝時代の動乱を経て、それまで伝統的であった公家文化と、新興の武家文化が融合した点が大きな特色です。さらに、義満による明との勘合貿易や、禅宗の隆盛を通じて、大陸文化からの影響も色濃く受けています。

建築

北山文化を代表する建築物として、鹿苑寺金閣が挙げられます。1397年に建てられたこの建物は、正式には鹿苑寺舎利殿と呼ばれ、義満が北山に造営した山荘（北山山荘）に建てられました。義満の死後、その法名をとって鹿苑寺となりました。

金閣は、一層が公家風の寝殿造で阿弥陀堂、二層が住宅風（武家造という説もあります）、三層が禅宗様の仏殿風という、他に類を見ない独特の構造をしています。三層には仏舎利が安置されていました。

残念ながら金閣は1957年に焼失してしまいましたが、その後再建され、現在もその美しい姿を見ることができます。

文学

文学の分野では、軍記物語や五山文学が盛んでした。

軍記物語
太平記（1371年頃成立）：南北朝時代の動乱を描いた物語
難太平記（1402年）：『太平記』を批判的に解釈した書物
五山文学
義堂周信（1325年～1388年）：禅僧、漢詩文に優れる
絶海中津（1336年～1405年）：禅僧、義堂周信とともに五山文学の双璧

また、連歌も発展し、二条良基が「菟玖波集」を撰集（1356年）し、「応安新式」（1372年）を制定して、100句を基準とする長連歌の形式を確立しました。

芸能

芸能の分野では、能が観阿弥・世阿弥親子によって大成されました。田楽や猿楽を基盤とし、幽玄で象徴的な表現を追求した能は、北山文化を代表する芸能として発展しました。能とともに、狂言も演じられました。

宗教

禅宗の一派である臨済宗が、幕府の保護のもとでさらに発展しました。安国寺や利生塔が各地に建立され、天竜寺をはじめとする五山が整備されました。幕府は五山の制を定め、寺格を定めました。

生活文化

礼法もこの時代に整備され、小笠原流や伊勢流といった武家の礼法が確立されました。また、大草流庖丁道や折形といった、食に関する礼法も生まれました。

北山文化は、公家文化と武家文化の融合、大陸文化の影響、そして禅宗の隆盛を背景に、建築、文学、芸能、宗教、生活文化など、多岐にわたる分野で独自の発展を遂げました。その絢爛たる文化は、室町時代の幕開けを告げるものであり、後の東山文化へと受け継がれていきました。

関連項目

東山文化
室町文化
足利義満
唐物

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