北条朝直

北条 朝直（ほうじょう ともなお）

北条朝直は、鎌倉時代の初期から中期にかけて活躍した武将であり、北条氏の一門に属していました。彼は鎌倉幕府の評定衆としても知られ、その政治活動は後の北条氏に大きな影響を与えました。父は初代連署を勤めた北条時房であり、母は足立遠元の娘という背景を持ちます。彼は大仏流北条氏の祖としても位置づけられています。

生涯について

朝直は、時房の四男として生まれました。彼の長兄である時盛は佐介流北条氏の祖ですが、朝直とは異腹の兄弟です。時盛の母は不詳であり、彼が「庶長子」として扱われることに繋がったのではないかとも言われています。同様に、次兄の時村や三兄の資時も、承久2年（1220年）に突然出家することになります。

史料『明月記』によると、父・時房は嘉禄元年（1225年）まで在京して、六波羅探題としての役割も担っていました。朝直もこの時期、父や兄と共に京に滞在しており、後に鎌倉へ移る際も、北条時氏と共に重要な役割を果たしていたことが示唆されます。

嘉禄2年（1226年）1月には鎌倉に下向し、その際、長兄の時盛だけが京に残ることになります。朝直の正室は伊賀光宗の娘でしたが、貞応3年（1224年）には光宗が流罪となる事態が発生しました。光宗は翌年に復帰しますが、朝直は父母から執権北条泰時の娘との再婚を勧められ、21歳で無位の立場でありながら、愛妻との離別を拒み続けました。

この状況は朝直が出家の準備にまで至るほどの大騒動となり、彼の抵抗はその後も続いたと見られていますが、5年後の寛喜3年（1231年）には遂に泰時の娘との間に男子が誕生したことが『吾妻鏡』に記されており、結局朝直は圧力に屈したと考えられます。なお、この結婚問題は京の公家の耳にも届くほどの騒ぎでしたが、幕府編纂書には記載されていません。

朝直は、泰時の娘婿となったことで、長兄の時盛に代わって時房の後継者とされ、武蔵守を譲り受けるなどの優遇を受けました。この結果、時房流は分裂し、泰時流（得宗家）が台頭することになったと解釈されることもあります。

朝直は将軍源実朝の偏諱を受けたと言われ、初めから嫡男であったかもしれません。北条泰時から北条政村まで続く歴代の執権を支えつつも、寄合衆には最終的には任じられませんでした。文永元年（1264年）5月3日、59歳でこの世を去ります。

経歴

朝直の公職履歴は以下の通りです。

• - 1233年（貞永2年）：木工権頭に任官。式部少丞に遷任。
• - 1234年（天福2年）：式部大丞に転任。相模権守に叙位転任。
• - 1237年（嘉禎3年）：備前守に遷任。
• - 1238年（嘉禎4年）：従五位上に昇叙、武蔵守に転任。
• - 1239年（延応元年）：鎌倉幕府評定衆に就任。
• - 1241年（仁治2年）：正五位下に昇叙。
• - 1243年（寛元元年）：遠江守に遷任。
• - 1245年（寛元3年）：武蔵守に再任。
• - 1249年（建長元年）：幕府二番引付頭人を兼帯。
• - 1252年（建長4年）：遠江国守護を兼帯。
• - 1256年（建長8年）：一番引付頭人へ異動、以後不変。

北条朝直の生涯は、鎌倉時代の文化や政治の影響を受けた複雑なものであり、彼の人物像は北条氏の歴史において重要な位置を占めています。

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