北海道一・二級町村制

北海道一級町村制と二級町村制

北海道一級町村制と二級町村制は、明治から昭和初期にかけて北海道の地方自治を規定した法律です。1888年に制定された市制・町村制が北海道には適用されなかったため、北海道独自の制度として制定されました。

制度の成立と特徴

明治27年、井上馨内務大臣は、北海道の町村を財政状況によって一級と二級に区分するべきだと主張しました。その結果、明治30年、一級町村制と二級町村制が制定され、明治32年10月1日に施行されました。

町村制を参考に制定されましたが、二級町村では自治権が大きく制限されていました。具体的には、町村長、書記は北海道庁長官が、収入役は町村会の推薦に基づいて支庁長官が任命するなど、実質的な自治は制限されていました。これは、北海道庁が二級町村の財政を負担する代わりに、保護監督的な役割を果たすことを意味していました。

明治35年には北海道二級町村制が改正され、昭和2年には一級町村制と二級町村制の両方が改正されました。改正では、自治権の拡大や制度の整備が図られました。しかし、依然として一級町村と二級町村の間には自治権の格差が存在していました。

指定町村と廃止

昭和18年、市制町村制施行令の改正に伴い、北海道一級町村制と二級町村制は廃止されました。しかし、二級町村については特例として指定町村という形で存続しました。指定町村は従来の制度を維持していましたが、昭和21年の府県制改正によって根拠法を失い、同年10月5日に廃止されました。

北海道地方自治制度の変遷

北海道一級町村制と二級町村制は、北海道の地方自治制度の変遷において重要な役割を果たしました。初期の北海道は、財政力や行政能力の差が大きく、画一的な制度の適用が困難でした。そのため、財政状況や行政能力に応じて異なる制度が適用されることになりました。

しかし、この制度は、自治権の制限や一級町村と二級町村間の格差を生み出すなど、問題も抱えていました。最終的には、戦後の地方自治制度改革によって廃止され、全国で統一的な地方自治制度が確立されました。

まとめ

北海道一級町村制と二級町村制は、北海道独自の地方自治制度として、その歴史的背景や制度の特徴を理解することが重要です。この制度は、北海道の地方自治の変遷を理解する上で重要な位置を占めており、後の地方自治制度改革にも影響を与えました。また、指定町村という特例措置の存在や、その廃止に至る経緯も、制度の変遷を理解する上で重要な要素となります。

これらの制度は、北海道の地方自治の歴史における重要な一歩であり、現代の地方自治制度の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。歴史的背景、制度の詳細、そしてその廃止に至るまでの経緯を理解することで、北海道の地方自治制度の変遷をより深く理解することができます。

参考文献

角川日本地名大辞典 1 北海道 下巻

関連項目

北海道区制
市制
郡制
町村制
樺太町村制
地方自治
市町村
* 町村組合

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