契丹国志

契丹国志（きったんこくし）

『契丹国志』は、中国の歴史書であり、契丹（遼）の歴史を紀伝体で記述したものです。全27巻で構成され、南宋の葉隆礼によって編纂されました。

概要

『契丹国志』は、南宋の葉隆礼が勅命を受けて編纂した歴史書です。葉隆礼の〈進書表〉には淳熙7年（1180年）の日付がありますが、葉隆礼は淳祐7年（1247年）の進士であるため、成立は少なくともそれ以後と考えられています。成立当初はあまり知られていませんでしたが、元代中期になって世に出ました。

編纂にあたっては、『資治通鑑』、『続資治通鑑長編』、『新五代史』、『松漠紀聞』、『燕北雑記』などの宋側の資料が用いられました。また、『使遼図鈔』、『北遼遺事』などの現在では失われた書物（逸書）からも引用されています。

『契丹国志』の特筆すべき点は、正史である『遼史』には見られない記事や見解が含まれていることです。そのため、遼の歴史を研究する上で貴重な資料となっています。

構成

『契丹国志』は全27巻で構成されており、各巻の内容は以下の通りです。

巻一～十二：太祖から天祚帝までの歴代皇帝の事績
巻十三：皇后の伝記
巻十四：諸王の伝記
巻十五：外戚の伝記
巻十六～十九：列伝（韓延徽、張礪、趙延寿、蕭翰、麻荅、耶律郎五、盧文進、耶律隆運、劉六符、馬保忠、張琳、蕭奉先、李儼、耶律余覩、大實など）
巻二十：晋への降伏に関する上奏文、澶淵の盟に関する記録、国境画定に関する議論など
巻二十一：南北朝間の贈り物、外国からの貢物
巻二十二：五京、大藩府、銭帛司、節鎮、観察防禦団練使、刺史州などの州県に関する記述
巻二十三：族姓の起源、国土の風俗、併合された部族、兵馬制度、建官制度、宮室制度、衣服制度、漁猟の時期、科挙制度
巻二十四：王沂公、富鄭公の旅行記録、余尚書、刁奉使の北語詩
巻二十五：胡嶠の陥北記、張舜民の使北記
巻二十六：奚、古粛慎、室韋、新羅、高昌、女真、黄頭女真、嗢熱、渤海などの諸蕃に関する記述
巻二十七：正旦、立春、人日、中和、上巳、仏誕日、端午、朝節、三伏、中元、中秋、重九、小春、冬至、臘月などの歳時に関する記述、盗賊の取り締まり、行軍、午の日、旋風、舎利、跪拝、長白山、沢蒲、回鶻豆、螃蟹などに関する記述

脚注

『契丹国志』

参考資料

* 『契丹国志』

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