北郷忠虎

北郷忠虎（ほんごう ただとら）

北郷忠虎は、戦国時代の武将で、日向国（現在の宮崎県）の豪族である北郷氏の11代目当主です。父は北郷時久、兄に相久がいました。しかし、天正9年（1581年）に相久が父・時久と不和になり自害したため、忠虎が嫡子となりました。

島津氏への加勢と九州制覇への貢献

忠虎は、天正初年から島津氏に加勢し、各地の戦で活躍しました。特に、天正9年（1581年）の相良義陽との戦いでは、島津義虎と共に武功を挙げ、その名を轟かせました。その後も、主に肥後国方面での戦いに参加し、島津氏の九州制覇に大きく貢献しました。忠虎は、その武勇と忠誠心で島津氏からの信頼も厚く、重要な戦で常に先陣を切りました。

豊臣秀吉の九州征伐と降伏

天正15年（1587年）、豊臣秀吉による九州征伐が始まると、忠虎は島津義弘と共に強硬派として徹底抗戦を主張しました。島津義久が秀吉に降伏した後も、父・時久と共に都城に立てこもり抵抗を続けましたが、最終的には義久の説得に応じ降伏しました。しかし、秀吉は忠虎の抵抗を考慮し、異例なことに島津家を介さず直接所領安堵の朱印状を与え、大名に準じた扱いをしました。これは、忠虎の武勇を高く評価していたからだと考えられます。

朝鮮出兵と病没

文禄元年（1592年）、朝鮮出兵（文禄の役）が始まると、忠虎も同年3月3日に都城を出陣し、4月28日に釜山に到着しました。毛利高政の配下として江原道まで転戦しましたが、文禄2年（1593年）閏9月6日に、弟の三久を代理として送ることで、ようやく帰国の許可を得ました。しかし、帰国した翌文禄3年（1594年）3月には正室が死去、その喪も明けない7月には再び参陣の命が下り、再び朝鮮に渡りました。同年12月14日、唐島（現在の加徳島）で病死しました。享年39歳でした。

死後

正室との間に子供はいませんでしたが、側室との間に生まれた一子・長千代丸（後の北郷忠能）が跡を継ぎました。

忠虎は、戦国時代の激動期を生き抜いた武将であり、その生涯は、武勇と忠誠心、そして激しい戦乱の時代を象徴しています。

参考資料

『本藩人物誌 鹿児島県史料集第13集』鹿児島県立図書館、1973年
『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年

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