島津義虎

島津義虎

島津義虎（しまづ よしとら）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、薩摩国島津氏の分家である薩州家の6代目当主です。薩摩出水（現在の鹿児島県出水市）の領主として知られています。

生涯

1536年、薩州家5代当主・島津実久の長男として生まれました。当初は室町幕府12代将軍・足利義晴から一字を賜り晴久（はるひさ）と名乗りますが、後に陽久（読みは同じ）に改名しています。その後、足利義輝から「義」の字を賜い、義俊（よしとし）、さらに義虎へと名を改めました。

父・実久は薩摩守護職を巡って島津宗家の島津忠良・貴久親子と対立していましたが、義虎は当初から宗家に服従する姿勢を示していました。実久が忠良親子に敗れて隠棲すると、義虎は島津義久の娘・於平を妻として迎え、宗家との和睦を図り臣従しました。しかし、実久と忠良親子の対立は実久が亡くなるまで続いたとする説もあり、義虎の代になって初めて宗家に臣従したという見方もあります。

宗家に臣従した後も、義虎は独自の行動をとることがありました。1563年には上洛して13代将軍・足利義輝に拝謁し、一字拝領を受けています。また、東郷の領主である東郷重治とは、家臣の飼い犬が盗まれたことがきっかけで約20年間も争いを繰り広げました。

さらに、1565年には叔父の忠兼に肥後国天草の長島攻略を命じています。これは、かつて長島を領有していた長島鎮真を庇護していたことが背景にあります。義虎は、長島領主であった天草越前守を攻め滅ぼし、長島を薩州家の領地としました。しかし、その直後、義虎は忠兼を謀殺しています。

1567年からは羽月城を守備し、肥後相良氏の備えを務めました。しかし、1569年に相良氏が島津方の使者を殺害し、菱刈氏と連合して挙兵すると、義虎は羽月城を退却して本拠地の出水に引き上げたため、宗家の島津義久の怒りを買っています。その後、1578年の高城川の戦いでは、大友氏に呼応する相良氏への備えとして出水城を守りました。1581年には相良氏討伐の先鋒となり、ついに相良氏を下しています。また、1584年の沖田畷の戦いにも従軍し、軍功を挙げています。

義虎は、将軍義輝から「義」の字を賜っていることからもわかるように、島津一門の中でも宗家当主の義久に次ぐ地位にありました。領地は出水の他に高城、水引、山野など3万1905石を領有していました。

1585年、50歳で亡くなりました。

子孫

義虎の三男・忠清は、一男一女をもうけ、その男子・忠影が新納氏を継ぎ、五男・重高が入来院氏を継ぎ、それぞれ薩摩藩士として存続しました。また、忠清の娘は島津忠恒に嫁ぎ心応夫人となり、島津光久の生母となったため、光久以降の薩摩藩主は女子を介して義虎の血を引くことになります。

脚注

『本藩人物誌 鹿児島県史料集8』（鹿児島県立図書館）
『鹿児島県史　別巻』（鹿児島県 1943年）

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