匡衡

匡衡の生涯と業績

匡衡（きょうこう、生没年不詳）は、前漢時代の著名な政治家であり、その学問への熱心な取り組みが評価されていました。彼は東海郡承県に生まれ、家庭は代々農業を営むも裕福ではありませんでしたが、学問を深めることに情熱を注ぎました。小作をしながら学費を捻出する努力を重ね、民間では彼の詩的才能が称賛されていました。「詩経を語るな、匡衡が来るぞ。その話を聞けば顎が外れるほどだ」と噂されるほど、その学識は卓越していたといわれています。

彼は学問に励み、太学で学ぶことが許可されましたが、才能面では平凡と見なされ、卒業試験に苦しみました。9年目にしてやっと丙科に合格したこの経験は、彼が経学に専念する契機となりました。後に、平原郡の文学卒史として派遣され、学問を通じて多くの人々を導く存在となりました。そのため、彼についていく後進者が多く、遠方に置くべきであるという意見が上層部に上がりました。

この意見は、太子太傅の蕭望之や少府の梁丘賀にまで届けられましたが、匡衡の学問が評価されているとの結論を見たため、平原に派遣されることが決まりました。皇太子の劉奭（後の元帝）は彼の学問に興味を抱きました。宣帝が崇められた後、元帝が即位すると、外戚の史高が重職につくと共に、匡衡は注目の人材として推薦を受けました。元帝の治世において、彼は光禄大夫や太子少傅といった高位に昇進し、その知識と見識から重用されるようになります。

また、匡衡の政治的手腕と学問の影響力は、政治的安定を図る上でも重要な役割を果たしました。日食や地震が起こると、元帝が政治的意見を求めた際、匡衡の見解が支持され、それ以来さらに昇進しました。彼は皇太子を優先するよう上書し、祭祀制度の改善や淫祀の排除を提案しました。

元帝が逝去し、成帝が即位すると、匡衡は忠告者としても継続的に活躍。彼は妃を選定する際に注意を促す一方で、経書の学習を進めることを進言します。しかし、彼の子である匡昌が酔って殺人を犯し、投獄される騒動が起こりました。匡衡は責任を感じ、謝罪しましたが、成帝は匡衡自身を不問にしました。ところが、その後、匡衡に対する疑惑が浮上し、司隷校尉らによる弾劾の結果、彼は罷免されることに。最後は庶人となり、建始4年（紀元前29年）にその役職を失いました。

匡衡の子もまた学問を継承し、九卿に昇進するなど、彼の吉報は家族にも広がりました。彼の一生は、学問と政治の両面での挑戦と成果を象徴しており、今なおその名は歴史に刻まれています。

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