十三太保

十三太保：後唐を支えた伝説の武将集団

十三太保（じゅうさんたいほ）とは、五代十国時代の後唐を建国した李克用（り こくよう）の養子たち、またはそれに準じる有力な武将たちを指す集団の名称です。この名称は史実を完全に反映したものではなく、主に民間伝承や小説などを通じて広く知られるようになりました。彼らは、李克用の下で卓越した武勇を発揮し、後唐の建国と初期の安定に大きく貢献したとされています。

十三太保の成立背景

当時、有力な軍閥の間では、将来有望な部下を「養子」として迎え、擬似的な親子関係を結ぶことが広く行われていました。これは、単なる血縁関係を超えた、より強固な信頼関係を築き、組織の結束力を高めるための戦略的な手段でした。李克用の養子となった武将たちは、その中でも特に武勇に優れ、多くの戦場で目覚ましい活躍を見せました。彼らは「太保」と呼ばれ、その中でも特に傑出した13人が「十三太保」として伝説化されたのです。

十三太保の構成員

十三太保は、以下のメンバーで構成されています。

大太保：李嗣源（り しげん）（後の後唐の二代皇帝、明宗）
二太保：李嗣昭（り ししょう）（韓進通とも）
三太保：李存勗（り そんきょく）（李克用の実子、後の後唐の初代皇帝、荘宗）
四太保：李存信（り そんしん）（張汚落とも）
五太保：李存進（り そんしん）（孫重進とも）
六太保：李嗣本（り しほん）（もとの姓は張）
七太保：李嗣恩（り しおん）（もとの姓は駱）
八太保：李存璋（り そんしょう）
九太保：李存審（り そんしん）（符存審とも）
十太保：李存賢（り そんけん）（王賢とも）
十一太保：史敬思（し けいし）
十二太保：康君立（こう くんりつ）
十三太保：李存孝（り そんこう）（安敬思とも）



注目すべき点として、史実では十一太保の史敬思と十二太保の康君立は李克用の養子ではなく、「李」の姓を名乗っていません。また、三太保の李存勗は十一太保の史敬思が死去した翌年に生まれており、これらの点からも「十三太保」が史実を基にしながらも、伝説的な要素が色濃く反映された集団であることがわかります。

民間伝承と『残唐五代史演義』

十三太保の物語は、歴史的な事実だけでなく、民間伝承や説話によって豊かに彩られています。特に、白話小説『残唐五代史演義』では、十三太保の中でも特に武勇に優れた李存孝が主人公として描かれ、その活躍が詳細に語られています。しかし、史実における李存孝は、李克用に謀反を起こしたため処刑されており、物語と史実の間には大きな隔たりがあることも事実です。

演劇や映画における十三太保

十三太保の物語は、京劇や映画など、さまざまな形で現代にも語り継がれています。

京劇：京劇には「十三太保」という演目があり、その勇ましい姿が演じられています。
映画：
『十三太保』（1951年、香港）：十三太保を題材にした初期の映画作品です。
『英雄十三傑』（1970年、香港）：倪匡（げい きょう）の小説『十三太保』を原作とした映画で、デビッド・チャン、ティ・ロンなどの人気俳優が出演しています。

これらの作品を通じて、十三太保の物語は今もなお多くの人々に愛され、語り継がれています。

まとめ

十三太保は、後唐の建国を支えた武将たちの伝説的な集団です。彼らの物語は、歴史的事実と民間伝承が混ざり合い、様々な形で語り継がれています。その勇ましい活躍と、時に悲劇的な運命は、人々を魅了し続けており、後世に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

関連項目

仮子
* 馮玉祥#国民軍十三太保

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