十年式艦上雷撃機

十年式艦上雷撃機について

十年式艦上雷撃機（じゅうねんしきかんじょうらいげきき）は、大日本帝国海軍が運用していた艦上雷撃機であり、三菱内燃機が設計・製造を行った機体です。本機は、日本海軍が保有した数少ない三葉機であり、その特異なデザインが特徴です。ですが、製造されたのは僅かで、最終的には練習機としての役割に回ったことが評価されています。

概要

海軍航空の発展は、欧米の輸入機やライセンス生産に依存していた日本において、新たなステージへの移行を求められるものでした。この背景の中で、三菱はイギリスのソッピース社からハーバード・スミス技師たちを招へいし、日本独自の航空機開発が進められました。その中で艦上攻撃機として開発されたのが、十年式艦上雷撃機でした。

1922年の8月、試作機が完成した本機の最も大きな特徴は、日本海軍機では初めてかつ唯一の三葉形態を採用している点です。このデザインは、航空母艦に搭載する際のスペースの制約を考慮しつつ、十分な搭載量と良好な運動性能を兼ね備えた機体を目指して決定されました。

試験の結果、性能面では特に顕著な問題は見られなかったため、十年式艦上雷撃機は制式に採用されました。しかしながら、実運用に入ると、いくつかの欠点が浮き彫りになりました。その一つが三葉形態に起因する全高の高さで、これが整備作業を困難にしました。また、単座としての設計は攻撃時の精度に影響を与え、後方への防御武装が未装備であったため、攻撃後の帰還時の安全性にも懸念が残りました。

こうした理由から、1923年には生産が一時中止されることが決定され、その間に20機が生産された後、後継機である一三式艦上攻撃機の量産が開始されると、十年式艦上雷撃機は主に練習機として運用されることになりました。

スペック

十年式艦上雷撃機の主なスペックは以下の通りです。

• - 全長: 9.78 m
• - 全幅: 13.26 m
• - 全高: 4.45 m
• - 自重: 1,370 kg
• - 全備重量: 2,500 kg
• - エンジン: ネイピア・ライオン 液冷W型12気筒 450 hp ×1
• - 最大速度: 209.4 km/h
• - 航続時間: 2.3 時間
• - 上昇限度: 6,000 m
• - 乗員: 1 名
• - 武装: 18 インチ魚雷 ×1

関連項目

この航空機に関連する項目としては、以下の機体が挙げられます。

• - 一〇式艦上戦闘機
• - 一〇式艦上偵察機
• - ソッピース トライプレーン
• - フォッカー Dr.I

十年式艦上雷撃機はその独自性と性能の数々から、今なお航空機の歴史の中で重要な位置を占めています。

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