十日町小唄

十日町小唄

十日町小唄は、新潟県十日町市で生まれた、地域を代表する新民謡です。その歴史は昭和初期に遡り、十日町市の名産品である明石ちぢみのコマーシャルソングとして制作されたのが始まりです。

作詞は長井白眉、作曲は中山晋平という、当時を代表する才能が手がけました。さらに、初代水谷八重子が振り付けを担当するという、豪華な制作陣が名を連ねています。1929年7月には、芸者歌手として名を馳せた藤本二三吉の歌唱でビクターからレコードが発売され、全国へとその名が広まりました。

戦後には新たな編曲が加えられ、1960年には週刊サンケイの「全国民謡・新民謡ベストテン」で堂々の第一位を獲得。これにより、再び脚光を浴びることとなりました。現在では、佐渡おけさと並び、新潟県を代表する民謡として広く親しまれています。

毎年7月には、「十日町小唄日本一優勝大会」が開催され、その賑わいは夏の十日町を彩る風物詩となっています。地域に根ざした民謡として、その ঐতিহ্যは今も息づいています。

主な歌詞には、越後名物の明石ちぢみの美しさや、雪解け後の越後の春の情景、そして恋心を唄ったものが含まれています。


越後名物数々あれど　明石ちぢみに雪の肌　着たら離せぬ味のよさ

　テモサッテモ　ソウジャナイカ　　テモソウジャナイカ

雪が消えれば越後の春は　梅も桜もみな開く　　わしが心の花も咲く

逢いはせなんだか十日町橋で　長さ六町の　　ゆき戻り　恋か涼みか夜を明かす

人が見たらば横丁へよけて　雪のトンネル　　隠れ場所　恋の抜け道廻り道


これらの歌詞は、十日町市の風土や人々の生活、そして情感を見事に表現しており、聴く人の心に深く響きます。

十日町小唄は、藤本二三吉をはじめ、市丸、喜久丸、三浦布美子といった多くの芸者歌手によって歌い継がれてきました。また、三橋美智也、岸千恵子、早坂光枝、小杉真貴子、根本美希、金沢明子など、数々の著名な民謡歌手もこの曲をレパートリーとしています。

『十日町小唄』 - コトバンク

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