千代田地区 (河内長野市)

千代田地区（ちよだちく）

大阪府河内長野市の北部に位置する千代田地区は、旧南河内郡千代田村の大部分とその周辺地域を包括しています。この地区の名称は、大正天皇の即位に際し、江戸城の別名である「千代田城」に由来しています。しかし、「千代田」という単独の地名は、過去にも現在にも存在しません。第二次世界大戦後に開発された千代田南町や千代田台町が地名の一部として用いられています。

歴史

千代田村から長野町へ

1889年（明治22年）4月1日の町村制施行により、市村、市村新田、向野村が合併し、市新野村（いちしのむら）が発足しました。当初、「市村」を名乗る予定でしたが、市村新田が合併に反対し、協議の結果、各村から一文字ずつ取り、「市新野村」と命名されました。しかし、この村名に対して大阪府から4度にわたる再検討の通達が出されています。

1916年（大正5年）4月1日、村名は「千代田村」に改称されました。これは前述の通り、江戸城の別名「千代田城」にちなんだものです。同時に、大字市村新田は木戸に改称されました。

1940年（昭和15年）4月1日には大阪陸軍幼年学校が村内に移転し、同年6月1日には長野町、天野村と合併して長野町の一部となりました。1945年（昭和20年）9月には、大阪第一陸軍病院が大阪陸軍幼年学校跡に移転し、同年12月に国立大阪病院となりました。この病院は後に大阪市へ移転し、国立大阪病院長野分院、国立河内長野病院、国立大阪南病院を経て、現在は国立病院機構大阪南医療センターとなっています。

河内長野市発足以降

1961年（昭和36年）には千代田台町、1963年（昭和38年）には千代田南町といった小中規模のニュータウン開発が始まりました。

1973年（昭和48年）4月1日には河内長野市立楠小学校が開校、1975年（昭和50年）4月1日には河内長野市立千代田中学校が開校しました。1981年（昭和56年）には、当地区東側に大阪外環状線が開通しました。

地理

千代田地区は河内長野市の北部に位置し、東端を石川、西端を西除川が流れています。千代田駅を中心に、大阪南医療センター前交差点から貴望ヶ丘交差点までの市道沿いに商店街が形成され、河内長野市北部の中心部となっています。

河川

石川
西除川

地域

楠町東、楠町西

「くすのきちょうひがし」「くすのきちょうにし」と読みます。かつては「与通東」「与通南」と呼ばれていましたが、1969年（昭和44年）11月1日の町名変更時に、西高野街道を境に東側が「楠町東」、西側が「楠町西」となりました。楠町東は、千代田駅の西側に位置し、国道310号が通るため、木戸西町と共に現在の千代田地区の中心部となっています。

主な施設

盛松寺
河内長野市立楠小学校
大阪暁光高等学校
モリ工業河内長野工場
大阪千代田短期大学附属幼稚園

松ケ丘東町、松ケ丘中町、松ケ丘西町

かつて「与通北」と呼ばれていた地区で、1969年11月1日の町名変更時に、国道310号より東側が「松ケ丘東町」、国道310号と西高野街道の間が「松ケ丘中町」、西高野街道より西側が「松ケ丘西町」となりました。

主な施設

松ケ丘公民館
松林寺
春日神社
滝谷病院
堺化学工業医薬事業部長野工場
松ケ丘公園

木戸

2000年（平成12年）10月1日に制定された住所表記で、1丁目〜3丁目があります。市町と木戸町の一部がこの地区に指定されました。南部は千代田駅前通りを中心に商店が並び、北部は住宅地が広がっています。千代田団地は、1975年から柳風台として開発されました。児童公園として柳風台第一、第二、第三公園（ぞうさん公園）があり、鳴尾自治会館の裏には鳴尾公園（かめさん公園）があります。

主な施設

塩谷遺跡
千代田駅（南海高野線）
河内長野消防署北出張所
JA大阪南千代田支店
UR都市機構千代田団地

木戸西町

「きどにしまち」と読みます。かつては「木戸石坂」「原石坂」と呼ばれていましたが、2004年（平成16年）12月6日に現在の住所表記が制定され、1丁目〜3丁目があります。千代田駅南側に位置し、南北に国道310号が通るため、楠町と同様に現在の千代田地区の中心部となっています。

主な施設

千代田公民館
河内長野警察署千代田駅前交番
千代田ショッピングセンター
西友千代田店
NTN金剛製作所

木戸東町

「きどひがしまち」と読みます。1996年（平成8年）9月1日に制定された住所表記で、大部分が大阪南医療センターと府営河内長野木戸住宅にあたります。大阪陸軍幼年学校など、旧陸軍施設があった場所でもあります。

主な施設

国立病院機構大阪南医療センター
大阪府立長野北高等学校
千代田受水場
府営河内長野木戸住宅

木戸町

「きどちょう」と読みます。町村制施行以前の市村新田の一部にあたります。現在の住所表記制定以前は、木戸、木戸東町、木戸西町、千代田南町地区も含まれていましたが、現在は河内長野市立千代田小学校や寺ヶ池など、5か所に飛地として残っています。

主な施設

寺ヶ池
河内長野市立千代田小学校

千代田南町

「ちよだみなみちょう」と読みます。1963年から1967年にかけて、千代田台町に次いで南海が「千代田南海住宅」として開発した小中規模ニュータウンです。住所表記は1967年（昭和42年）9月1日に制定されました。千代田駅の南側に直結しており、駅前通りには大型店舗や個人商店が並んでいます。市立千代田中学校と小学校にも隣接しています。

主な施設

南海電気鉄道千代田検車区

市町

「いちちょう」と読みます。町村制施行以前の市村の大部分にあたります。南北に大阪外環状線（国道170号）が貫いており、東端は石川の河岸段丘となっています。その下方には汐ノ宮駅が隣接しています。

主な施設

灰原池
千代田神社
河内長野市立千代田中学校

汐ノ宮町

汐ノ宮駅前に古くからの住宅地が広がっています。かつては地域の中心駅として機能していましたが、千代田駅の開業によってその役目を譲りました。戦前には石川を挟んだ富田林市に汐ノ宮温泉がありました。西端は河岸段丘、東端は石川に挟まれた地形に、南北に国道170号旧道（府道20号）が通っています。

主な施設

汐ノ宮駅（近鉄長野線）
近鉄タクシー南河内総合営業所

向野町

「むかいのちょう」と読みます。町村制施行以前の向野村にあたります。千代田村時代には、現在の汐ノ宮駅周辺が中心部で近かったため、結びつきが強かったのですが、戦後、千代田駅周辺に中心部が形成されたことや、河内長野駅が最寄りとなるため、現在では長野地域との結びつきが強くなっています。1990年の向野住宅街区整備事業により、住宅団地や市道が整備されました。

主な施設

金剛特殊釘製作所
向野第1-2公園

あかしあ台、桐ケ丘、自由ケ丘

1979年から2000年にかけて開発された小規模ニュータウンです。住所表記は、あかしあ台2丁目を除いて1990年（平成2年）3月1日、あかしあ台2丁目は1994年（平成6年）3月1日に制定されました。桐ケ丘と自由ケ丘は、松ケ丘地区と同様に滝谷駅の方が近いため、そちらを利用する住民が多いです。

北貴望ケ丘、南貴望ケ丘

1968年から1970年にかけて、開発観光と日生不動産が開発した小規模ニュータウンです。住所表記は1969年11月1日に制定され、市道原町狭山線を境に北側が「北貴望ケ丘」、南側が「南貴望ケ丘」となりました。市道原町狭山線は当初、当地区で終点でしたが、1990年代後半に小山田北大橋が開通し、府道38号富田林泉大津線と接続されて交通量が大幅に増加しました。南側は寺ケ池公園に隣接しています。

千代田台町

「ちよだだいちょう」と読みます。1961年から1967年にかけて、河内長野市で初めて開発されたニュータウン「千代田台」です。住所表記は1967年9月1日に制定されました。千代田駅の西側の台地に位置し、寺ケ池公園に隣接しています。駅からの市道は、住宅地内を南北に貫くバス通りとなっています。

主な施設

府営千代田台住宅

交通

鉄道

近畿日本鉄道（近鉄）
長野線：汐ノ宮駅
南海電気鉄道
高野線：千代田駅

道路

国道170号（大阪外環状線）
国道310号
大阪府道20号枚方富田林泉佐野線
府道38号富田林泉大津線
西高野街道・東高野街道

脚注・出典

楠原佑介『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。ISBN 4-490-10280-1。
町名一覧表 - 河内長野市

関連項目

大阪府の廃止市町村一覧
* 河内長野市のニュータウン

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